優勢なアリの一属の進化過程、一度は新世界で、もう一度は旧世界で
サイエンス出版部 発行書籍
323属ある世界のアリのほぼ1割がオオズアリ属 (Pheidole) に属する近縁種で占められている。沖縄科学技術大学院大学 (Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University) のProfessor Evan Economoは、「熱帯雨林を歩けば必ずオオズアリ属のアリを踏むことになる」と述べており、オオズアリ属は、熱帯雨林から砂漠まであらゆる気候の土地に生態的地位を持っている。しかし、これまでどのようにしてオオズアリ属の種が進化し、地上の全域に広がっていったのかという全地球的視点ではまったく解明されていなかった。Biodiversity and Biocomplexity Unit の研究者、Dr. EconomoとUniversity of Michiganの同僚研究者は、世界各地のオオズアリ属の300種の遺伝子シーケンスを比較した。その上で研究チームはこのシーケンスを使ってそれぞれの種が新種になった時期と場所を示す系統樹を再構成した。同時に、学術文献、世界中の博物館、大規模なデータベースを検索し、地球上のオオズアリ属のアリ、1,200種ほどのすべてについて、その生息地に関してデータを集め、種ごとの生息地域図を作成した。 その研究の結果が2014年11月26日付「Proceedings of the Royal Society Series B」のオープンアクセス論文集オンライン版に掲載されており、研究の成果から、オオズアリ属は、まず新世界で大きく広がるために一度進化し、さらに旧世界でも同じように進化していたことが明らかになった。Dr. Economoらは、研究の手始めにオオズアリ属の個々の種のサンプルとなるアリを選び出した。その作業が終わると各サンプルのDNAシーケンシングを行い、種間の遺
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