1000ゲノム計画から10年、最新技術が解き明かすヒト遺伝子の新たな謎

1000ゲノム計画から10年、最新技術が解き明かすヒト遺伝子の新たな謎

かつてヒトゲノム研究に革命をもたらした「1000ゲノムプロジェクト」。その完了から10年の時を経て、残された貴重なサンプルが最新技術の力で再び輝きを放ち始めました。これまで誰も見ることができなかった、ヒトの遺伝的バリエーションの全体像が、今、驚くほど鮮明に描き出されようとしています。この記事では、私たちの生命の設計図に隠された新たな物語を解き明かす、最先端の研究成果をご紹介します。 2003年に完了したヒトゲノム計画は、私たちに初めてのヒトゲノム配列をもたらしましたが、それはごく少数の人々のDNAに基づいたものでした。この成功を礎に、2007年に1000ゲノムプロジェクトが構想されました。このプロジェクトは、1,000人のヒトゲノムを解読するという野心的な目標から始まり、それを超える成果を上げ、2015年には様々な祖先を持つ2,500人以上の個人のデータを発表しました。これらのプロジェクトは、私たち一人ひとりをユニークにし、生命活動の基盤となる遺伝学に関する知識の多くに貢献してきました。そして今、10年の時を経て、欧州分子生物学研究所(EMBL)の科学者とその共同研究者たちは、10年前には利用できなかった手法や技術を駆使して、この膨大なリソースのサンプルをより深く分析し、ヒト生物学に関する新たな知見を明らかにしました。2025年7月23日に科学雑誌『Nature』で連続して発表された2つの論文で共有されたデータセットは、今日における最も完全なヒトゲノムの全体像と言えるかもしれません。 EMBLハイデルベルクのグループリーダー兼暫定責任者であり、今回の新しい研究の共同シニアオーサーであるヤン・コーベル氏(Jan Korbel)は次のように述べています。「約15年前、ほとんどのヒトゲノムシーケンシングは、DNAの短い断片からの『リード』に依存していました。これはゲノム全

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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