6万種のDNAをテスト!血液細胞の運命を決める「設計図」を発見

6万種のDNAをテスト!血液細胞の運命を決める「設計図」を発見

私たちの体を構成する何兆個もの細胞は、たった一つの受精卵から始まります。細胞たちは、どのようにして自分が血液になるべきか、神経になるべきかを理解し、それぞれの役割を正確に果たしていくのでしょうか。その秘密は、遺伝子をオン・オフする「制御配列」に書かれた、生命の「文法」に隠されています。これまで解読が極めて困難だったこの文法を、6万種類以上のDNAを人工的に設計・テストするという壮大なアプローチとAI技術を駆使して解き明かした研究が登場しました。これは、生命の設計図を「読む」だけでなく、自在に「書く」時代の到来を告げる、画期的な成果です。 大規模な合成スクリーニングが、転写因子の組み合わせがいかにして造血における細胞状態特異的な遺伝子制御を駆動するかを解明 遺伝子制御の言語を解読するという大胆な飛躍の中で、バルセロナのゲノム制御センター(CRG)の研究者らは、血液細胞のアイデンティティの論理を読み、そして書くための強力な新しいアプローチを開発しました。2025年5月8日に『Cell』誌で発表されたオープンアクセス研究「Design Principles of Cell-State-Specific Enhancers in Hematopoiesis(造血における細胞状態特異的エンハンサーの設計原理)」は、ラース・ヴェルテン博士(Lars Velten, PhD)の指導のもと、大学院生のロベルト・フレーメル氏(Robert Frömel)が主導しました。64,000を超える合成DNA配列を設計しテストすることで、チームは転写因子結合部位の組み合わせがどのようにして系列特異的な遺伝子発現を生み出すかを解明し、驚くべき精度でプログラム可能となったエンハンサー機能の「文法」を明らかにしました。 造血のパズル:類似したシグナル、異なる運命 血液の幹細胞や前駆細胞では

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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