一個のmicroRNAが、胚の分節「時計」に
サイエンス出版部 発行書籍
新しい研究で、肺組織の分節化が正しく行われるために1個の小さなRNAが重要な役割を担っていることが突き止められた。この研究はニワトリの胚で行われ、この小さなRNAが、筋肉や脊椎になる組織分節形成のタイミングを決める周期的遺伝子活動を規則正しく調節していると判定された。つまり、この活動に加わっている遺伝子は各組織分節形成の動きに対応する拍動的パターンでオン・オフされていたのだ。 もし遺伝子の活動が厳密に規則正しく調節されなければ、まったく組織が形成されないか、形成されても欠陥があるということになる。この分節「時計」にはLfngと呼ばれる遺伝子一個が関わっていると考えられているが、この研究で、タンパク質生成に何の役割も果たしていない小さなRNAのかけらであるmicroRNAが、拍動的パターンの正確なタイミングでLfngをオン・オフすることが実証された。このmicroRNAを削除するか、手を加えて正常に機能しないようにすると遺伝子時計の拍動的パターンが狂い組織発達が異常になった。 The Ohio State University の分子遺伝子学准教授で、この研究報告の著者、Susan Cole博士は、「1個のmicroRNAとその対象の間でたった一つの相互作用しかみられないのに、それがこれほど重要な働きをしていることが、microRNAの機能を阻害してみて初めて明らかになった。胚成長段階でたった1個のmicroRNASの動きを阻害するだけでこれほど大きな影響が現れるという例は他にはほとんど見られない。このmicroRNAの場合には、タイミング調節がかなり厳密であり、非常に重要であることが明らかになったが、これはニワトリの胚に限ったことではないと考えられる。なぜなら、Lfngが生成するRNAセグメントのmicroRNAが接着する位置は、ニワトリに限らず、ヒト、マウス、ゼ
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