体細胞遺伝子の変異が片側性巨脳症を引き起こす
サイエンス出版部 発行書籍
片側性巨脳症は稀な疾患であるが、通常対称性を保つ脳の形状が異常化し、片側だけが肥大化する。重度の癲癇を持つ子供によく見受けられるが、その原因は判っておらず、且つ治療法は極めて苛烈であり、肥大化した脳の一部や全てを切り取る手術が行なわれる。カルフォルニア大学(UC)サンディエゴ医学校とハワード・ヒューズ医学研究所の研究者らが主宰する、臨床医と科学者で構成されるチームが、ネイチャー・ジェネティクス誌2012年6月24日のオンライン版に、興味深い論文を発表した。 それによれば、細胞の大きさと細胞増殖とを制御している3つの体細胞遺伝子が新たに見つかったが、これらが変異する事が、どうも片側性巨脳症の原因のようであるが、それらの変異だけに限らないようでもある。新たに見つかった3つの変異は無性細胞で起こる遺伝子変化であるが、これは両親が有していたり、両親から遺伝したりするものではない。UCサンディエゴ医学校とラディ・サンディエゴ子供病院の神経学と小児科学教授であるジョセフ・G・グリーソンM.D.研究室と、UCロサンジェルス・マーテル子供病院の神経外科のギャリー・W・マシェーンM.D.研究室との共同研究チームが示唆するのは、これらの変異遺伝子から発せられるシグナルを、薬剤によって阻害したり弱めたり出来れば、外科手術の必要性を低減させたり、予防的に使用することが可能になるという事だ。 グリーソン博士の研究室では、マシェーン博士が手術した20人の片側性巨脳症患者を対象にして、切除された脳組織とその患者の血液と唾液をサンプルとして、DNAの解析と比較を実施した。「マシェーン博士は1卵生双生児の家族について報告しています。1人は片側性巨脳症ですが、1人は正常なのです。1卵生双生児は完全に同じDNAを継承しますので、疾患のある脳において何らかの変異が発生し、巨脳症の起因となるのではないかと
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