肺の線維化を食い止める!マクロファージ上のTREM2受容体をブロックする新戦略
息切れがひどくなり、徐々に呼吸が困難になる進行性の病気、肺線維症。これまで有効な治療法が限られていましたが、この難病の進行を食い止める新たな鍵が見つかったかもしれません。私たちの体を守る免疫細胞「マクロファージ」の特定の働きを制御することで、肺の線維化を抑えるという画期的なアプローチが、アラバマ大学バーミンガム校の研究で示されました。 マクロファージを介した線維化の重要な制御因子としてTREM2が発見されたことにより、TREM2は肺線維症性疾患に対する有望な治療介入の標的となります。 肺マクロファージは、特発性肺線維症のような疾患において極めて重要な役割を果たします。肺には、微生物を殺し、死んだ細胞を除去し、免疫応答を刺激して体を守る白血球であるマクロファージが2種類存在します。一つは生まれつき存在する組織常在性マクロファージ、もう一つは損傷や感染に反応して短期間だけ肺に入る単球由来マクロファージです。近年、これらの単球由来肺胞マクロファージ(Mo-AMs)が、肺線維症の病態進行の主要な駆動因子であることが特定されました。しかし、その線維化を促進する挙動や肺での生存メカニズムは不明なままであり、臨床医は依然として有効な治療法を欠いています。 医学誌「Nature Communications」に掲載された研究で、ガン・リュー博士(Gang Liu, MD, PhD)、ファチュン・ツイ博士(Huachun Cui, PhD)、そして彼らのアラバマ大学バーミンガム校(UAB)の同僚たちは、Mo-AMs細胞上の細胞表面受容体タンパク質であるTREM2が、マクロファージを介した肺線維症の重要な制御因子であることを示しました。これにより、TREM2は有望な治療介入の標的となると、UAB医学部呼吸器・アレルギー・救命救急医学科の教授であるリュー博士は述べています。 「私
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Edited by Michael D. O'Neill

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