ゼブラフィッシュに学ぶ心臓再生の秘密:「眠っていた」胚性遺伝子の再活性化が鍵

ゼブラフィッシュに学ぶ心臓再生の秘密:「眠っていた」胚性遺伝子の再活性化が鍵

心筋梗塞などで一度傷つくと、人間の心臓が完全に元通りになることはありません。しかし、もし心臓が自ら再生する力を持っていたらどうでしょうか?そんな夢のような能力を持つ生物がいます。小さな魚、ゼブラフィッシュです。この度、カリフォルニア工科大学とカリフォルニア大学バークレー校の研究チームが、この魚の驚異的な心臓再生能力の秘密を解き明かし、将来の人間の心臓治療に繋がるかもしれない重要な手がかりを発見しました。 ゼブラフィッシュは、損傷後に心臓を再生・修復するという、驚くべき稀な能力を持っています。カリフォルニア工科大学(Caltech)とカリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)による新しい研究は、この能力を制御する遺伝子の回路を特定し、心臓発作などの損傷後や先天性心疾患の場合に、いつか人間の心臓を修復する方法についての手がかりを提供しています。この研究は、Caltechのエドワード・B・ルイス生物学教授であり、ベックマン研究所所長であるマリアン・ブロナー博士(Marianne Bronner, PhD)と、UC Berkeleyの発達生物学者であるメーガン・マーティク博士(Megan Martik, PhD)の研究室による共同研究です。この研究を記述した論文は、2025年6月18日に「PNAS」誌に掲載されました。論文のタイトルは「Reactivation of an Embryonic Cardiac Neural Crest Transcriptional Profile During Zebrafish Heart Regeneration(ゼブラフィッシュの心臓再生時における胚性心臓神経堤転写プロファイルの再活性化)」です。 心臓は、筋肉細胞、神経細胞、血管細胞など、多くの異なる種類の細胞で構成されています。ゼブラフィッシュでは、これらの細胞の約1

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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