免疫細胞が老化を加速? 2,000万以上の細胞解析で明らかになった老化の真実

免疫細胞が老化を加速? 2,000万以上の細胞解析で明らかになった老化の真実

サイエンス出版部 発行書籍

20億超の細胞を解析!「PanSci」が解き明かす老化の分子・細胞基盤とは? 老化とは単なる細胞の損傷の蓄積なのか? それとも、発達のように異なる段階を経るプロセスなのか?この問いに対する新たな答えを示す研究が発表されました。2024年11月28日付のScience に掲載された研究では、単一細胞トランスクリプトーム・アトラス「PanSci」 が構築され、マウスの生涯を通じて 2,000万以上の細胞 の変化が詳細に解析されました。 論文タイトルは、「A Panoramic View of Cell Population Dynamics in Mammalian Aging(哺乳類の老化における細胞集団動態の全体像)」 であり、ロックフェラー大学(The Rockefeller University) のジュンユエ・カオ博士(Junyue Cao, PhD) が主導したものです。 このアトラスは、以下のような老化の新たな側面を明らかにしました。 性差に基づく老化の細胞動態の違い 免疫細胞の全身的・臓器特異的な変化 老化に関連する細胞の増減とリンパ球の役割 特定のライフステージごとに劇的に変化する細胞集団の発見 これらの知見は、老化を理解するための新たな枠組みを提供し、加齢関連疾患の治療標的を特定する手がかりとなる可能性を秘めています。 老化は直線的なダメージの蓄積ではない? 新たな「段階的老化モデル」 長年にわたり、老化は 単純な損傷の蓄積によるプロセス と考えられてきました。しかし、本研究では、老化は発達のように異なるライフステージごとに大きく変化する ことが示されました。 特に、マウスのライフステージごとに特徴的な細胞変化 が見られました。 初期成人期(3〜12か月) 脂肪組織・筋肉・上皮細胞系の特定細胞群が減少 代謝

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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