病原性変異のメカニズム解明:タンパク質の安定性が鍵

病原性変異のメカニズム解明:タンパク質の安定性が鍵

サイエンス出版部 発行書籍

2025年1月8日に『Nature』誌に発表された大規模な研究によると、病気を引き起こすアミノ酸置換型の突然変異の多くは、タンパク質の安定性を低下させることで影響を及ぼしていることが判明しました。不安定なタンパク質は誤って折りたたまれたり、分解されたりしやすくなり、その結果、機能しなくなったり、細胞内に有害な量で蓄積したりする可能性があります。本研究のオープンアクセス論文は、「Site-Saturation Mutagenesis of 500 Human Protein Domains(500のヒトタンパク質ドメインにおける部位飽和変異導入)」と題されています。本研究は、ヒトゲノムにおける最小限の変化、いわゆるミスセンス変異が分子レベルでどのように病気を引き起こすのかを解明するのに貢献しました。研究者らは、タンパク質の不安定性が遺伝性白内障の主要な要因の一つであることを突き止め、さらに神経疾患、発達障害、筋萎縮性疾患にも関与していることを明らかにしました。 バルセロナのゲノム制御研究センター(Centre for Genomic Regulation:CRG)と深センのBGIの研究者らは、よく知られた病原性ミスセンス変異621種類を調査しました。その結果、全体の61%(3分の2以上)の変異がタンパク質の安定性を低下させることが確認されました。 研究では、特定の疾患関連変異を詳しく調査しました。例えば、ベータ-ガンマクリスタリン(beta-gamma crystallins)は、ヒトの眼のレンズの透明性を維持するために不可欠なタンパク質群です。研究者らは、白内障の発症と関連する変異のうち72%(18種類中13種類)がクリスタリンタンパク質の安定性を低下させ、タンパク質が凝集しやすくなり、レンズ内に不透明な領域を形成することを明らかにしました。 さらに、研究では還元

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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