6種のMicroRNAのグループがリンパ腫の引き金に
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The Scripps Research Institute (TSRI) の研究者が主導して行った新しい研究によると、免疫を制御している数種の小分子があって、それらが少しでも過剰生産されるとリンパ腫と呼ばれる血液がんの引き金になることが突き止められた。リンパ腫その他の何種類かのがんで6種のmicroRNA分子が過剰生産されることはすでに知られているが、これまでその6種のmicroRNA分子のグループこそがそのタイプのがんで主要原因になることは知られていなかった。
その研究では、microRNAががん成長を引き起こし、持続させる主要な生体パスウエーも突き止められている。TSRIのAssistant Professor Changchun Xiaoは、「このmicroRNAのクラスターががん成長を促す仕組みを実証することができたので、今はこのクラスターの影響を抑える治療法を考えるときではないか」と述べている。Dr. Xiaoは、European Molecular Biology Organization の出版物、2013年8月6日付EMBO Journalに掲載されたこの研究で主任研究員を務めている。
1990年代に発見されたばかりのmicroRNAは、何種類ものごく短い分子でおよそすべての動物植物の細胞中で活動している。このmicroRNAは、いずれも遺伝子の「照明の光量スイッチ」のような機能を持っており、各遺伝子の複製に付着して、遺伝子がタンパク質に翻訳されないよう効果的に抑制している。このようにしてmicroRNAは、様々な細胞のプロセスを調整することができる。この研究の焦点になったのは、13番染色体のたった一つの遺伝子でエンコードされる、miR-17~92と呼ばれる6種のmicroRNAのクラスターであった。
Dr. Xiaoのラボの研究を含め、miR-17~92の研究では、いずれも、発現する細胞の種別に従って、免疫関連発育プロセスを制御していることが証明されている。ただし、miR-17~92クラスターそのものが発がん性の疑いで知られており、腫瘍の意味の「onco-」を付けて「oncomir-1」とあだ名されている。2005年以来、リンパ腫、白血病、脳腫瘍、乳ガン、前立腺がんその他のタイプの腫瘍でこのクラスターが過剰に生産されることが突き止められてきた。このクラスターは、特にリンパ腫で大きな役割を果たしているようであり、昨年発表された研究では、National Cancer Instituteの研究者チームが、バーキット・リンパ腫と呼ばれるごく一般的な非ホジキン・リンパ腫の患者の腫瘍サンプルすべてにmiR-17~92クラスターが過剰に発現していることを突き止めている。
今回の研究で、研究チームは、miR-17~92の過剰発現が細胞のがん化の単純な結果ということだけではなく、その過剰発現ががん成長を速めるという証拠も見つけた。Dr. Xiaoは、「ただし、miR-17~92がそのようながんの一次的な引き金になるかどうかはまだ分かっていない」と述べていたが、新しい研究でDr. Xiaoと同僚研究者は、miR-17~92ががんの一次的な引き金になることを実証した。研究チームのプロジェクトは、遺伝子組み換えマウスのコロニーを使って始められた。このマウスは、数年前、Dr. XiaoがHarvard Medical Schoolの著名な免疫学者であるDr. Klaus Rajewskyの研究室で博士課程終了後の研究を行っている時に確立したものであり、Dr. Xiaoは、「このマウスは人工の遺伝子断片が組み込まれており、細胞のタイプを問わず、いつでもmiR-17~92を活性化することができる」と語っている。この研究では、バーキットリンパ腫由来のものと同じB細胞と呼ばれる抗体生成免疫細胞中でのみ過剰生産がおきていた。2008年に自分の研究室を設立するため、TSRIに移ったDr. Xiaoは、この遺伝子移植マウスのコロニーを拡大した。新研究で筆頭著者を務めている、Xiao研究室のHyun-Yong Jin院生は、「このマウスの80%が、1年以内にリンパ腫にかかったことを突き止めた」と述べており、Dr. Xiaoは、「B細胞中でmiR-17~92が3倍から5倍程度の過剰発現をするだけでこれほど高率のリンパ腫になる事態は驚くべきことで、人のバーキット・リンパ腫の場合には10倍以上の過剰発現になるのが普通だ」と述べている。
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