新テクニックでテロメアDNA構造の力学が明らかに
サイエンス出版部 発行書籍
老化やがんを研究する生物医学研究者は、染色体の末端につながって、これを保護するテロメアに強い関心を持っている。カリフォルニア大学(UC)サンタ・クルス校での新研究では、科学者グループが新しいテクニックを用いて、テロメアの構造的・機械的特性を明らかにした。この成果は新しい抗がん剤開発の方向性を示すと考えられる。テロメアは、染色体の末端につながっており、長いDNA繰り返し配列が特徴である。 そして丁度靴ひもの末端のプラスチック筒のように、染色体の末端を保護している。細胞が分裂するに従ってこのテロメアがどんどん短くなり、最終的に細胞の分裂が止まる。ただし、テロメアそのものは、テロメラーゼと呼ばれる酵素の働きでさらに成長することができる。特に幹細胞のように無限に分裂していかなければならない細胞中ではテロメラーゼの働きが非常に活発である。研究者グループは、腫瘍細胞の中でもテロメラーゼの働きが活発であることが多いとしている。UCサンタ・クルス校の化学生化学准教授のマイケル・ストーン博士は、「私の研究室では、『グアニン四重鎖』と呼ばれるテロメア末端のDNA構造が畳まれたり開いたりする現象に特に注目している。これがテロメラーゼの活動の制御に関わっており、ほとんどのがん細胞が、このテロメラーゼを利用して無限増殖の一助としている。従って、抗がん治療でもグアニン四重鎖を標的にすることが重要だと考えられる。テロメアDNAのグアニン四重鎖構造がテロメラーゼ酵素の機能を阻害していることから、私のチームでは、グアニン四重鎖構造の機械的安定性を突き止めたいと考えている」と語っている。ストーン博士の研究室の大学院生、Xi Long氏が研究プロジェクトを率いており、2種類のテクニックを組み合わせて、グアニン四重鎖構造が開いている時に単一DNAの分子を操作し、観察した。DNA分子を引き伸ばすためには「磁
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