高血圧の遺伝学的原因を追究する
サイエンス出版部 発行書籍
英国レスター大学循環器科学科の研究チームが、高血圧の原因について画期的な研究を行なった。2011年10月31日付けのHypertension誌オンライン版に発表された成果は、ヒトの腎臓内の遺伝子物質を探索し、高血圧に関与すると考えられる遺伝子を発見したというものだ。これにより今後、高血圧の原因を究明する研究に、新しい道が開かれるであろう。腎臓内にヒト高血圧に関与する重要な遺伝子とmRNA、そしてmicroRNAが存在することが明らかにされた。 さらに、高血圧をコントロールするホルモンとして考えられてきたレニンの調節に寄与する2つのmicroRNAも同定された。腎臓が血圧の調節を行うことは昔から知られていたが、そのプロセスにおける重要な遺伝子が発見されたのは、今回が初めてである。これは、大規模で包括的なヒト腎臓遺伝子の発現解析を実施した結果であるが、レニンの発現をコントロールする遺伝子の発見も初めてである。研究グループは、高血圧の男性患者15人と正常血圧の男性患者7人の腎臓から得た組織サンプルを分析し、それらのmRNAとmicroRNAとを比較した。mRNA(メッセンジャーRNA)はDNAからのタンパク生産情報を伝達する単鎖分子である。 遺伝子情報はDNAからmRNA鎖にコピーされ、細胞が必要なタンパク質を作る際に必要なテンプレートを提供する。microRNAはmRNAのタンパク質変換情報の伝達プロセスを調整する非常に小さな分子である。この研究は、レスター大学循環器科学科の循環器学専門臨床講師であり、レスター血圧クリニックのコンサルタント医師、マシージュ・トマゼスキー博士との共同執筆である。「この論文について、私は非常に興奮しています。レニンは血圧調節に関与する最も重要な物質の一つです。それがヒト腎臓内で発現しているという発見は、新しい降圧剤の開発への新しい道を開く
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