【関節症治療の革命】アルブミンを利用した「賢いsiRNA」が軟骨を長期保護

【関節症治療の革命】アルブミンを利用した「賢いsiRNA」が軟骨を長期保護

多くの人々を悩ませる関節の痛みに、希望の光が見えてきました。注射一本で、痛みの原因に直接アプローチし、長期間にわたって軟骨を守る――。そんな夢のような治療法が、現実のものとなるかもしれません。ヴァンダービルト大学の研究チームが開発したこの画期的な技術は、私たちの体内に存在するタンパク質「アルブミン」を運び屋として利用する、非常に賢い仕組みです。この新しいアプローチが、つらい関節症の治療をどのように変える可能性があるのか、詳しく見ていきましょう。 賢いsiRNA-脂質複合体が変形性関節症および関節リウマチモデルで長期的な遺伝子サイレンシングと軟骨保護を達成 ヴァンダービルト大学のクレイグ・L・デュバル博士(Craig L. Duvall, PhD)が主導し、フアン・M・コラーゾ医学博士(Juan M. Colazo, MD, PhD)が筆頭著者として発表した画期的な研究が、関節炎治療に革新的なアプローチをもたらします。2025年5月16日に『Nature Biomedical Engineering』誌でオープンアクセス論文として公開されたこの研究は、「siRNA Conjugate with High Albumin Affinity and Degradation Resistance for Delivery and Treatment of Arthritis in Mice and Guinea Pigs(高いアルブミン親和性と分解耐性を備えたsiRNA複合体によるマウスおよびモルモットの関節炎への送達と治療)」と題されています。本研究では、化学的に安定化させ、アルブミンに結合する性質を持たせた低分子干渉RNA複合体を開発し、炎症を起こした関節に直接遺伝子サイレンシング治療を届けることに成功しました。軟骨破壊の中心的な酵素であるマトリックスメタロプロテアー

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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