白血病幹細胞を死滅させるフィッシュオイル代謝物
サイエンス出版部 発行書籍
フィッシュオイルから産生される化合物は、白血病幹細胞をターゲットにするため病気の治療法につながる可能性がある、とペンシルベニア州立大学の研究者は推測する。「Δ12プロスタグランジンJ3、またはD12-PGJ3と呼ばれるこの化合物は、マウス実験において慢性骨髄性白血病(CML)の幹細胞をターゲットにし、死滅させる事が実証されました。」と、獣医医科学部免疫分子毒物学准教授のサンディープ・プラーブ博士は語る。「D12-PGJ3は、魚やフィッシュオイルに含まれるω3脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)から生産されます。過去の研究では、脂肪酸は心血管系や脳の発達に良い影響をもたらし、特に乳幼児の健康に役立つものであると示されていました。 しかし、我々は今回、ω3の代謝体が白血病の原因となる幹細胞を選択的に死滅させる能力を持っている事を、マウス実験で明らかにしたのです。この注目すべき点は、マウスの白血病が無再発で完全に治癒されたと言うことです。」と、プラーブ博士は説明する。今回の発見は2011年2月22日付けのBlood誌に掲載され、研究者達はD12-PGJ3がマウスの脾臓および骨髄中の発ガン性幹細胞を死滅させることが可能だと述べた。 具体的には、この化合物は、白血病幹細胞自身の細胞死をプログラムするp53遺伝子を活性化するのである。「p53は DNA損傷に対する反応を調節し、ゲノムの安定性を維持する癌抑制遺伝子なのです。幹細胞が分裂すれば多くのガン細胞と幹細胞を生産します。そのため、幹細胞を死滅させることは、白血球の癌である白血病においてとても重要なのです。」と、プラーブ博士は説明する。「CMLの現治療法は、白血病細胞の数を低く保つことによって患者の生命を維持します。しかし、この薬は白血病幹細胞をターゲットとしないので、病気の完治は望めません。」と、今回の研究の共同ディレ
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