推定150万種ある真菌は、生命樹系図最大のブランチの一つでもあり、日常の生活や生態系の機能に、大きな影響を与えている。これは、真菌が、病原体としての機能や物質を分解する作用の保有、また宿主との共生関係の構築など、様々な性質を有しているからである。真菌類を人類の利益のために使用するためには、これらの振る舞い、機能、自然環境や人工環境における相互作用などを、明確に理解せねばならない。カルフォルニア大学・植物病理微生物学の准教授であるジェイソン・スタージック博士は「真菌1000ゲノム」プロジェクト国際チームの一員でもある。
この、5年掛りのプロジェクトは、米国エネルギー省共同ゲノム研究所との共同研究であり、真菌の生命樹系図から1000個の真菌をシーケンスするものである。この研究は、真菌の多様性についての研究者間の理解のギャップを埋める事を目的とし、米国エネルギー省2012年度コミュニティー・シーケンス・プログラムの41個あるプロジェクトの一つでもある。2011年11月3日にエネルギー省のグラントを得た本研究について、「全体的な計画としては、既知の真菌類全てから最低2種のシーケンスを行ない、真菌の生命樹系図のギャップを埋めるのが目的です。
プロジェクトの研究員は、収集されたデータを起点とし、これらの生物種が生存のためにどのように環境を変え利用するのかを、解析します。」とカルフォルニア大学リバーサイド校統合ゲノム生物学研究所の一員である、スタージック博士は説明する。スタージック博士は、オレゴン州立大学植物病理学のジョウィ・スパタフォラ博士と共同で真菌ゲノムプロジェクトを先導している。彼らのチームは共同研究グループと共に、真菌系を選択し、真菌の真菌界における進化や近縁性、及びそれらの遺伝子配列を解析する。
真菌は、死んだ有機物を分解する。これは地球規模炭素循環に欠かせない機能である。ほとんどの天然起源のバイオポリマーや人工物まで幅広く分解する。そのため真菌は、代替燃料や炭素除去、更には汚染された生態系のバイオレメデーションの開発に至るまで、幅広い用途に可能性を有している。
また真菌は、医薬品やチョコレート、そしてビールやチーズなどの製造にも欠かせない。しかし現在までに認識されている真菌の数は10万種に過ぎない。「複雑な群生の環境をサンプリングするためにゲノムDNAをシーケンスする技術は、急速に実用可能になってきており、産業やエネルギーや気候の管理のために、真菌は重要な役割を果たすでしょう。
ただし、これらの研究を進めるためには、真菌毎に特徴付けられた特異性の基礎研究が重要になります。」とスタージック博士は語る。少なくとも5つ、すなわち、カンサスシティ・ミズーリー大学真菌遺伝子保管センター、アリゾナ大学ロバート・L・ギルバートソン菌標本センター、オランダ・ヴォウ・シュメルカルチャーズ真菌バイオ多様性研究センター、米国北部地域農業研究所、そして米国農業センター森林菌研究所が研究のための真菌を管理提供している。
スタージック博士は、エネルギー省共同ゲノム研究所からグラントを提供される但野2つの研究にも関与する事になっている。1つは、サンディアゴ国立研究所の研究チームが主宰する好熱性真菌プロジェクトであり、2群の真菌の、高温環境で成長する生物「thermophily(サーモフィリィ)」の機能の分子生物学的研究を行なう。長期的には、産業用アプリケーション向けの耐熱性酵素の開発仁役立つ可能性を有する研究である。
2つ目は、チャペルヒル・ノースカロライナ大学の研究チームが主宰するウシグソヒトヨタケ(Coprinopsis cinerea)プロジェクトである。この研究では、ウシグシソヒトヨタケがどのようにバイオマスを分解するのかを理解すると同時に、このマッシュルームの生育を分析し、究極的には「マッシュルームとはどのようにして形成されていくのか」について探索していく。「私は、自然選択と、反復因子トランスポゾンのコピー数の変化の役割の謎を探求し、好熱性真菌がどのように高温で生育する能力を取得したのかを理解したいと思います。ウシグソヒトヨタケプロジェクトにおいては、遺伝子の目録を作成し、遺伝子がどのように調節されているのかを研究していこうと考えています。」とスタージック博士は語る。
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