遺伝子治療から進化の謎まで、RNAが生命科学の常識を塗り替える

サイエンス出版部 発行書籍
かつてはDNAの指示通りにタンパク質を作る、単なる「使い走り」だと考えられていたRNA。しかし今、その驚くべき多様性と機能が次々と明らかになり、生命科学の主役に躍り出ました。遺伝子発現の調節から、他の分子を動かす司令塔まで、その活躍の幅は生物学の世界で他に類を見ません。この「RNA革命」において、ロックフェラー大学の科学者たちは常に中心的な役割を果たしてきました。彼らの基礎的な発見は、細胞がRNAを使ってどのように環境の変化に応答するのか、その調節不全がなぜ病気を引き起こすのかを解き明かし、これまで治療不可能だった病気に対するRNA治療薬の基盤を築きました。この記事では、RNA研究の歴史を築き、未来を切り拓くロックフェラー大学の研究者たちの物語をご紹介します。 ジェームズ・E・ダーネル・ジュニア医学博士(James E. Darnell Jr. MD) 1950年代半ば、ダーネル博士が医学部を卒業した頃、RNAの科学がワクチン開発や疾患治療を根本から覆し、遺伝そのものの理解さえも変えることになるとは誰も予測していませんでした。しかし、この黎明期の分野はすでに大きな問いを投げかけており、ダーネル博士はそこに挑戦を見出しました。 科学者たちがDNAが遺伝の主要な担い手であることを証明してからわずか10年、フランシス・クリックは、その情報をタンパク質に変えるために別の核酸が必要だと提唱したばかりでした。研究者たちは、遺伝情報がどのように伝達されるのかという物語を完成させるため、このタンパク質合成におけるミッシングリンクの発見を競っていました。 「私の未来は決まっていました。私たちの細胞の中にある、このメッセンジャーRNAを見つけることでした」とダーネル博士は語ります。米国国立衛生研究所(NIH)在籍中、彼はウイルスからRNAを抽出する技術の開発に貢献し、その後、その技
microPAC ナノLC キャピラリーLC用カラム
イメージング質量分析 受託サービス
FFPE組織サンプル 深層ショットガンプロテオーム解析 受託サービス
同じカテゴリーの記事
Life Science News from Around the Globe
Edited by Michael D. O'Neill
バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill