NMDA受容体が脳の活動を安定化—うつ病治療の新たな可能性
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脳の安定性を司る新たな役割—NMDA受容体の発見がうつ病治療を革新する可能性 イスラエルのテルアビブ大学(Tel Aviv University)の研究チームは、学習や記憶の形成に重要なNMDA受容体(NMDAR)が、脳の活動の安定性を維持する上でも不可欠である ことを発見した。この研究は、うつ病、アルツハイマー病、てんかん などの神経疾患に対する新たな治療法の開発につながる可能性を示している。研究論文は、2024年に Neuron に掲載された。 NMDA受容体と脳の恒常性維持 これまで、NMDA受容体(N-methyl-D-aspartate receptor, NMDAR) は、主に学習や記憶に関与するシナプス可塑性の研究対象とされてきた。しかし、テルアビブ大学のイナ・スルツキー教授(Prof. Inna Slutsky) 率いる研究チームは、NMDARが脳の基本的な安定性を維持する役割 を持つことを明らかにした。 「脳研究の多くは、情報の記憶や学習を可能にする神経細胞間のシナプス接続の変化に焦点を当ててきました。しかし、それを支える脳の基本的な安定性もまた不可欠なのです。」 スルツキー教授が言いました。 この研究は、うつ病などの神経疾患がNMDARによる活動の安定化機能の破綻と関連している可能性 を示唆している。 研究手法とNMDA受容体の新たな機能の発見 研究チームは、以下の3つの主要な手法を用いた。 培養神経細胞(in vitro)を用いた電気生理学的記録生体内(in vivo)で行動するマウスの神経活動の記録数学的モデル(in silico)を用いた計算シミュレーション 実験1:培養神経細胞におけるNMDARの役割 研究者のアントネラ・ルッジェーロ博士(Dr. Antonella Ruggiero) は、テルアビブ大学の研究室で開発さ
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