マウス実験で寿命延長に成功。老化を遅らせる「ジェロプロテクター」の最新研究

マウス実験で寿命延長に成功。老化を遅らせる「ジェロプロテクター」の最新研究

いつまでも若々しく、健康で長生きしたい。これは多くの人々の願いではないでしょうか。そんな夢のような話に一歩近づくかもしれない、驚きの研究成果が報告されました。2種類のがん治療薬「ラパマイシン」と「トラメチニブ」を組み合わせることで、マウスの寿命を約30%も延ばすことに成功したのです。この発見は、私たちの「健康寿命」を延ばす未来の治療法につながるかもしれません。この併用療法は、慢性的な炎症を抑え、がんの発症を遅らせる効果も示しました。さらに興味深いことに、この2つの薬の組み合わせは、それぞれの薬を単独で使った場合とは異なる形で遺伝子の働きに影響を与え、新たな副作用を引き起こすこともありませんでした。 研究者たちが明らかにしたところによると、トラメチニブ単独ではマウスの寿命を5~10%、ラパマイシン単独では15~20%延長しました。しかし、これらを組み合わせることで相乗効果が生まれ、マウスの寿命を約30%も延ばすことができたのです。この併用療法は、高齢マウスの健康状態にも良い影響を与えました。治療を受けたマウスは、受けていないマウスに比べて組織や脳の慢性炎症が少なく、がんの発症や進行も遅れていました。 この研究成果は、2025年5月28日付の科学誌『Nature Aging』に掲載されました。論文のタイトルは「The Geroprotectors Trametinib and Rapamycin Combine Additively to Extend Mouse Healthspan and Lifespan(ジェロプロテクターであるトラメチニブとラパマイシンは相加的に組み合わさってマウスの健康寿命と寿命を延長する)」です。 ラパマイシンとトラメチニブは、老化において中心的な役割を果たすRas/インスリン/TORネットワークの異なるポイントに作用するがん治療

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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