心血管疾患研究の最前線:免疫由来マイクロRNAの可能性に迫る

今なお世界の死因のトップを占める心血管疾患。その発症や進行に、私たちの体を守るはずの「免疫」が深く関わっていることが分かってきました。そして今、この複雑な免疫の働きをコントロールする小さな司令塔として「マイクロRNA」が大きな注目を集めています。最新の研究は、この微小な分子が、心血管疾患の新たな診断法や治療法の鍵を握る可能性を示唆しています。この記事では、その最前線に迫ります。 心血管疾患は依然として世界の死亡統計の大部分を占めており、その病態の中心的な特徴として免疫系の機能不全が浮かび上がっています。ガレーエフ氏(Gareev)らによる総説では、心血管の状況における免疫応答の極めて重要な調節因子として、免疫由来マイクロRNAに焦点を当てています。この総説は、それらの病態生理学における役割、診断における可能性、そして治療における将来性を明らかにしています。この研究は2025年4月23日に『Gene Expression』誌に掲載され、論文タイトルは「MicroRNAs in the Regulation of Immune Response in Cardiovascular Diseases: New Diagnostic and Therapeutic Tools(心血管疾患における免疫応答の調節におけるマイクロRNA:新たな診断および治療ツール)」です。 導入 著者らは、免疫機能不全と心血管リモデリングの相互作用によって深刻化する、世界的な健康危機としてCVDsを紹介しています。マクロファージやT細胞といった免疫細胞は、恒常性の維持に不可欠ですが、調節がうまくいかないと、慢性炎症、線維化、プラークの不安定化を引き起こす可能性があります。最近の発見では、免疫細胞によって分泌される低分子非コードRNAであるmiRNAが、遺伝子サイレンシングを通じてこれらの
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Edited by Michael D. O'Neill
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