次世代遺伝子編集技術で嚢胞性線維症の未来が変わる?
サイエンス出版部 発行書籍
次世代型遺伝子編集は嚢胞性線維症(CF)の治療法となるのか? 近年、嚢胞性線維症(CF)に関する治療は大きく進展しましたが、依然として現行治療では効果が得られない患者が存在しています。特に、医療格差の影響を受ける患者にとっては深刻です。アイオワ大学の小児科および微生物学・免疫学教授ポール・マクレー医学博士(Paul McCray, MD)とブロード研究所のデイビッド・リュー博士(David Liu, PhD)は、遺伝子編集技術の新しいバージョンであるプライムエディティングの開発に取り組んでいます。この技術は、遺伝コード中のどの文字でも置換可能で、数百文字に及ぶセクションにも適用できます。 CFはヒトゲノムに含まれる約20,000個の遺伝子のうち、嚢胞性線維症膜貫通調節因子(CFTR)遺伝子の変異によって引き起こされます。最近、マクレー博士らは、リュー博士のチームが開発した遺伝子編集技術に6つの改良を加えた技術を用いて、肺のヒト細胞の60%、および患者の肺から直接採取した気道細胞の25%で遺伝子欠失を修正しました。この研究は米国国立心肺血液研究所(NHLBI)の支援を受けています。 CFとは何か? CFは世界中で16万人以上に影響を与える遺伝性疾患で、特に肺疾患として知られています。症状には咳、呼吸困難、頻繁な肺感染症が含まれますが、他にも副鼻腔、肝臓、腸、膵臓、生殖器系など複数の臓器に影響を及ぼします。CFTR遺伝子には2,000種類以上の変異が存在し、そのうち少なくとも700種類が疾患を引き起こします。最も一般的な変異は、CF患者の約70%に見られる3文字のコード削除です。この削除により、CFTRタンパク質の異常形成や早期分解が生じ、粘性の高い分泌物の蓄積を引き起こします。これにより、肺では細菌が捕捉され、感染や炎症を引き起こします。 革新的な治療薬の登場と
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