ゲノムの匂いをかぎ分け、相手を選ぶ – MHC (主要組織適合複合体) を超える何か
サイエンス出版部 発行書籍
「動物も人も免疫系関係の特定の遺伝子をかぎ分けることができ、その遺伝子がパートナー選びに影響を及ぼす」という学説がメディアを賑わしており、この遺伝子は、MHC (主要組織適合複合体) 遺伝子と呼ばれている。自分の持っているのとは大きく異なるMHC遺伝子を持った相手をパートナーとして選ぶことは、子孫が幅広い免疫遺伝子を持ち、したがって様々な疾患に抵抗力を持つようになるのだから、これは理にかなっている。 しかし、これまで、人や動物の発散する匂いの中にMHC遺伝子の情報を発信する匂いがあるとは知られていなかった。最近ドイツのthe University of Tubingen、Immunology departmentとProteome Centerの研究チームが、同国のthe University of Saarlandの研究者と共同研究を進め、その問題を突き止めた。この研究報告は、「Nature Communications」の2013年3月19日付オンライン版に掲載され、科学者が「パートナーを嗅ぎ出す」説をレビューすることになる。 MHC遺伝子は、細胞がどのMHCペプチドをその表面に提示するかを決定し、免疫系キラー細胞がそのMHCペプチドを認識するということはよく知られている。このペプチドは通常体内のタンパク質で構成され、どのような反応も引き起こさないが、MHCペプチドがウイルス由来のものであれば、免疫系キラー細胞がこれを外敵と認識し、攻撃する。ところが現在出されているある説によれば、MHCペプチドはMHC遺伝子に関する情報を伝える匂いでコミュニケートするとされており、マウスで試験されたのもこの説だ。特殊な感受性細胞が見つかっており、この感受性細胞はMHCペプチドを認識し、識別できることが突き止められている。また、実験では高濃度の合成MHCペプチドがマウスの行動に
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