病気の時、食べ物が苦く感じる理由を解明

病気の時、食べ物が苦く感じる理由を解明

サイエンス出版部 発行書籍

フィラデルフィア市のMonell Chemical Senses Centerの新研究で、炎症を促進する免疫系調節タンパク質である腫瘍壊死因子 (TNF) が、苦味に対する感受性を調節していることが突き止められた。この研究結果は、感染症、自己免疫疾患、慢性炎症疾患などに伴う味覚異常や食欲減退などの機序を説明できる可能性がある。TNFは、炎症疾患を仲介する役割に加えて、アルツハイマーからがんまで様々な疾患の進行に役割を果たしていることが示唆されている。研究論文の首席著者、Monellのmolecular biologist、Hong Wang, Ph.D.は、「食欲減退とそれに伴う栄養失調は、重篤患者の長期的予後にも影響する重大な問題である。   私たちの研究で、苦味の味覚は免疫系によって調節されていることが明らかになった。特に、TNFが病気の患者の味覚を苦味に敏感にする結果、食事がより苦く感じられ、食欲をそそられないということが起きている可能性がある」と述べている。 Dr. Wangの研究は、味覚と免疫系の相互作用を中心にしており、研究の目的は味覚細胞の機能が疾患の状態でどのように変化するかを明らかにすることにある。既にその研究の過程で、味蕾にはTNFを含めて何種類かの免疫系タンパク質が含まれていることを実証している。TNFが食欲を減退させることは判明していることから、現在の研究は、TNFが味覚細胞に作用することで食欲を減退させるのかどうかを突き止めることに重点を置いている。この研究の成果は2015年4月21日付の「Brain, Behavior, and Immunity」誌オンライン版に掲載された。TNFが味覚を調節するかどうかを調べるため、研究グループは正常なマウスと、遺伝子組み換えでTNF遺伝子を欠いた (TNFノックアウト・マウス) の味覚反応を比較した。2

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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