UCLAの研究チームが、T細胞を活性化させる機能の新たなメカニズムを正確に同定した。T細胞とは、感染源と闘う事が主たる役目である白血球の一種だ。2012年3月25日付けのネイチャー・メディシン誌のオンライン版に掲載された論文によると、感染箇所に現れる免疫細胞である樹状細胞が、ハンセン病の病原菌と言われるMycobacterium leprae(ハンセン病菌)と闘うために、より特異的な機能を獲得する様子が、論じられている。

 


樹状細胞は軍事行動における偵察機のように、進入してきた病原菌の重要な情報を提供し、T細胞が活性化する契機となり、より効果的な攻撃が出来るようにする。樹状細胞は、強い免疫反応に重要な役割を担い、感染箇所におけるT細胞の数に応じて強固な免疫反応が生じることは、既に理解されていた。しかし、樹状細胞がどのようにして感染源に応じて、特異的な応答様式を獲得していくのかは、よくわかっていなかった。研究チームは、NOD2と呼ばれるタンパクが、インターロイキン32という細胞シグナル分子を活性化させ、単球という一般的な免疫細胞を誘起して、情報伝達に特化された樹状細胞へと分化させることを明らかにした。「感染と闘う樹状細胞による、この機能のパスウエイが、初めて明らかにされたのです。感染症の治療を進める上で大変重要になると考えられます。」とUCLAデイビッド・ケッフェン医学部皮膚科学のポスドクであり、本論文の主筆であるミルジェム・シェンク博士は語る。


この研究を進めるに当たり、健常人ドナーやハンセン病ドナーから提供された血液由来の単球を用い、ハンセン菌と共培養を、或いは、ハンセン病菌に含まれており免疫システムの活性化に関与するとされる、NOD2とTLR2とを誘発する抽出成分と共培養を行なった。これらのタンパクが、異なる免疫レセプターをどのように活性化させ、感染した菌体の認識部位をどのように見つけるのかが、研究の主たる興味であった。NOD2インターロイキン32パスウエイが最も効果が強く、単球を樹状細胞に分化させ、その樹状細胞が病原菌の情報をT細胞に伝達するのだ。研究チームは、タンパクが誘発するパスウエイにおける、遺伝子発現プロファイルを精査し、ハンセン病患者の単球が、どのようにNOD2の関与を受けるのかを検討した。その結果、NOD2が単球の分化を誘導し、類結核型ハンセン病の樹状細胞を作ることを明らかにし、緩やかな感染ほど起こりやすいことも判った。


癩腫癩では、NOD2パスウエイは阻害され活性化されないが、これは大変重篤であり全身に広く感染しやすい。「樹状細胞が、T細胞特殊な応答を誘発する高い機能があることは、驚くべき事なのです。これによって多くの感染症やガンの新たな治療戦略の開発に、大変有用となります。」と話すのは、UCLA Klein皮膚科学教授で、ゲッフェン医学部皮膚科学長で、本論文の上級著者であるロバート・モドリン博士である。世界で最も古くから知られる疾患であるハンセン病は、慢性疾患であり、皮膚や末梢神経、上気道や眼球を侵し、手足の変形を生じさせる。WHOによれば、2008年には世界で249万9千件の新たなハンセン病の発症が報告されている。ハンセン病は宿主防護の免疫システムを研究するためには、大変使いやすいモデルであり、何故なら臨床所見が、病原体の免疫応答のレベルや種類と良く相関しているからだと、モドリン博士は説明する。研究の次のステップは、どうのようにして自然免疫系を操作し、ヒトの感染症における適切な免疫応答を引き出せるか、そして、それをガン治療にも応用する道筋を見つけることであろう。

[BioQuick News: Scientists ID Novel Pathway for T-Cell Activation in Leprosy">

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