VSVウィルスが膵臓ガン治療に効果的であると動物実験で証明される

VSVウィルスが膵臓ガン治療に効果的であると動物実験で証明される

サイエンス出版部 発行書籍

2012年3月付けのVirology誌に掲載された研究によると、膵管腺癌マウスにウィルスを腫瘍内投与した所、膵腫瘍の成長が阻害され、根絶された。ただし、いくつかの腫瘍はこの治療にかかわらず成長を続けたため、ウィルスに対する耐性も証明された。膵臓ガンの約95%は膵管腺癌(PDAs)である。PDAは最も致命的な悪性腫瘍の一つで、患者の5年生存率は8-20%でしかない。ノースカロライナ大学シャーロット校のバレリー・Z・ゼリシュビリ教授率いる研究チームは、膵腫瘍に対する数種類のウィルス、特に水疱性口内炎ウイルス(VSV)の実験を行った。   これまでの研究から、アデノウィルス、ヘルペスウィルス、そしてレオウィルスを含むいくつかのウィルスが膵臓ガン細胞を死滅させるために使用できと動物実験で実証されている。VSVはそのような腫瘍退縮ウィルスとなる性質をいくつか持っているのである。まず、VSVの複製では、感染するガン細胞が特定の受容体を発現する必要がない。そのため、他のウィルスとは異なり、ほとんど全てのガン細胞に感染することができるのである。第二に、複製は宿主細胞の細胞質内で起こるため、正常な宿主細胞がガン性のものに変わるリスクがない、とゼリシュビリ教授は言う。第三に、このウィルスのゲノムの扱いはとても容易であり、外来遺伝子の発現レベルを調節することが実際的である。そうなればガンに対するウィルスの特異性およびそれを死滅させる能力を高めることが可能になる。第四に、他のいくつかのウィルスと違い、ヒトはVSVに対する既存免疫をもっていない。 本研究ではいくつかのVSV変種におけるガンを死滅させる潜在力を、臨床的関連性をもつ13のPDA株細胞でテストした。この株細胞は原発腫瘍および肝臓やリンパ節転移の両方を含み、全てヒトから得られたものである。これらをアデノウィルス、センダイウィルス、そし

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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