腸内細菌が作る“謎の分子”が血糖値を下げる仕組みを解明!

腸内細菌が作る“謎の分子”が血糖値を下げる仕組みを解明!

糖尿病治療の新たな鍵は、私たちの「腸」の中にありました。それも、血液中には決して入ってこない、腸内細菌だけが作り出す謎の分子が、これまで見過ごされてきた「センサー」を刺激することで、血糖値を下げるホルモンの分泌を促していたのです。この発見は、体の中から代謝を操る、全く新しい治療戦略への扉を開くかもしれません。腸から吸収されない細菌代謝物が、2型糖尿病におけるインスリン分泌を増強するための、安全で腸を標的とした戦略を提供します。 血流に乗ることなく腸内にとどまる微生物由来の分子が、人体が血糖をコントロールする方法を再プログラムする鍵を握っている可能性があります。2025年5月29日に学術誌『Cell』に掲載された画期的な研究、「A Microbial Amino-Acid-Conjugated Bile Acid, Tryptophan-Cholic Acid, Improves Glucose Homeostasis Via the Orphan Receptor MRGPRE(微生物アミノ酸抱合胆汁酸であるトリプトファン-コール酸は、オーファン受容体MRGPREを介して糖恒常性を改善する)」において、北京大学と山東大学の研究者たちは、これまで認識されていなかった腸内細菌産生の胆汁酸であるトリプトファン抱合コール酸(Trp-CA)が、腸のホルモン分泌細胞にある長らく忘れられていた受容体MRGPREを活性化し、強力なグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)応答を引き起こすことを明らかにしました。シャオ・ユー(Xiao Yu)、リノン・ジー(Linong Ji)、ヤンリー・パン(Yanli Pang)、ジンペン・スン(Jin-Peng Sun)、そしてチャンタオ・ジャン(Changtao Jiang)の各氏が主導したこの研究は、血流に入ることなく糖尿病マウスの耐糖能を改善

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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