スクリプス研究所の研究で、COVID-19の治療薬候補として10種類以上の既存薬が特定された。
サイエンス出版部 発行書籍
世界で最も包括的な COVID-19 治療薬の再利用コレクションを調査した結果、現在進行中の世界的大流行の原因となっているコロナウイルスに対して抗ウイルス活性を有する90種類の既存の医薬品または医薬品候補を特定した。これらの化合物のうち、スクリプス研究所の研究では、COVID-19の経口薬として再利用できる可能性が高い、臨床承認された4つの薬剤と、その他の開発段階にある9つの化合物を特定した。
2021年6月3日にNature Communicationsのオンライン版に掲載されたこのオープンアクセスの論文は、「薬剤再利用スクリーンでCOVID-19治療薬の開発に必要な化学物質を特定(Drug Repurposing Screens Identify Chemical Entities for the Development of COVID-19 Interventions)」と題されている。
コロナウイルスのヒト細胞での複製を阻止した薬剤のうち、19種類がCOVID-19の治療薬として承認されている抗ウイルス療法薬であるレムデシビルと協調して作用したり、その作用を高めたりすることが分かった。「COVID-19に対する有効なワクチンができた一方で、COVID-19の感染を予防したり、感染の悪化を防いだりすることができる効果の高い抗ウイルス剤はまだない」「今回の結果は、SARS-CoV-2に有効な既存の経口薬を再利用するための有望な手段がいくつもある可能性を示唆している。我々は、有望な既存の薬剤を特定し、さらに今回の知見を活用して、亜種や薬剤耐性株を含むSARS-CoV-2や、現在存在する、あるいは将来出現する可能性のある他のコロナウイルスに対してより効果的な、最適化された抗ウイルス剤を開発している。」と、スクリプス研究所の社長兼CEOで論文の共同執筆者であるPeter Schultz博士は述べている。
同じカテゴリーの記事
Life Science News from Around the Globe
Edited by Michael D. O'Neill
バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill