母親の血中無細胞胎児DNAの次世代シーケンシングにより胎児鎌状赤血球症の非侵襲的出生前診断に一歩近づく
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鎌状赤血球症(Sickle cell disease:SCD)は、両方の親がヘモグロビン遺伝子の突然変異の保因者である場合に遺伝する貧血の一種だ。 現在、この疾患は、侵襲的検査を実施しなければ妊娠中に診断することができないが、流産リスクを伴うので、両親によって診断を拒否されることがある。
現在、英国のバーミンガムにあるNonacus Ltd.と協力して、英国のロンドンにあるGuy's and St Thomas' NHS Foundation Trust and Viapath Analyticsの研究者らは、この疾患の非侵襲的出生前診断を開発した。 この発表は、2019年6月16日に欧州人類遺伝学会(ESHG)の年次総会で行われた。
この発表は、「無細胞DNAの次世代シークエンシングによる鎌状赤血球症の非侵襲的出生前診断(Non-Invasive Prenatal Diagnosis of Sickle Cell Disease by Next-Generation Sequencing of Cell-Free DNA.)」と題されている。
Guy's and St Thomasの研究員であるJulia van Campen博士は、次のように説明している。「無細胞胎児DNA(母体血流中を循環する胎児由来のDNA)を使用して鎌状赤血球症の検査方法を開発した。 無細胞胎児DNA検査はすでにいくつかの疾患で利用可能だが、英国で最も一般的に要求されている出生前検査の1つであるにもかかわらず、技術的困難により鎌状赤血球症の検査法の開発が妨げられている。」
鎌状赤血球症の赤ちゃんを産むリスクがあるカップルでは、各パートナーがヘモグロビン遺伝子の変異を保有している。つまり、どの胎児でも四分の1の確率で両方の変異を受け継ぐため、鎌状赤血球症の影響を受ける。 このように受け継がれた状態の非侵襲的出生前診断(Non-invasive prenatal diagnosis :NIPD)は困難だ。
「鎌状赤血球症のための非侵襲的出生前アッセイの開発は以前から試みられているが、現在まで成功していない。」とvan Campen博士は言う。 研究者らは24人の妊娠中の鎌状赤血球症キャリアのサンプルを分析した。
ユニークな分子識別子、一種の分子バーコードを使用してエラーを減らすことができ、そして、より小さなフラグメントを分析することによって、サンプル中の胎児の貢献度を強化することができた。 これにより、妊娠8週という早い時期からのサンプルにおいて、24回の妊娠のうち21回の鎌状赤血球状態の診断に成功したが、3つのサンプルでは決定的な結果が得られなかった。 調査結果のさらなる検証が進行中である。
世界中で、毎年30万人以上の子供が鎌状赤血球症で生まれている。 これは最も一般的な遺伝性血液疾患であり、現在世界中で何百万もの人々が罹患している。 英国では約14,000人が鎌状赤血球症だ。つまり、4,600人に1人である。 毎年、この病気のリスクがあるカップル560組が、保因者診断を提供する全国出生前スクリーニングプログラムを通して検出される。 出生前診断は胎児が鎌状赤血球症を持っているかをテストするために、これらのカップルに利用可能だ。以前の研究では、非侵襲的検査の選択肢が利用可能であれば、胎児が鎌状赤血球症のリスクにさらされているより多くの女性が出生前検査を選択することが示されている。
「しかし、多くのカップルが、妊娠が起こるまで危険にさらされていることに気付いていない。鎌状赤血球症を保有している可能性があることを心配している人のために、キャリア診断や追跡遺伝カウンセリングが英国国民健康サービスを通じて受けられる。現在限られている鎌状赤血球症の意識を高めることは重要だ。」とvan Campen博士は述べた。
研究は進行中であり、そしてアッセイが臨床診療に導入される前に、それが診断テストとして十分うまく機能することを確かめるため、さらにテストが必要である。「また、妊娠中の適切なタイミングで女性に迅速に結果を提供できるようにし、医療提供者が許容できるコストで実行できるようにする必要がある。この研究が我々の予想よりも良い結果を出したことに興奮している。近いうちにこのテストを利用できるようになるだろう。」 そうvan Campen博士はプレゼンテーションを締めくくった。
ESHGの会長である英国のニューカッスル・アポン・タインにあるニューカッスル大学遺伝医学研究所所長のJoris Veltman教授は、次のように述べている。「妊娠中に安全に使用できる非侵襲的遺伝子検査の開発は重要だ。 この科学者たちは、危険にさらされているカップルの鎌状赤血球症に対して検査を行うための最先端ゲノミクスアプローチを開発した。ESHG会議で発表された彼らの最初の結果はそのテストが非常に有望であることを示している。」
BioQuick News:Non-Invasive Prenatal Diagnosis for Fetal Sickle Cell Disease (SCD) Moves a Step Closer; Researchers Develop Test to Detect SCD by Next-Generation Sequencing of Cell-Free Fetal DNA in Mother’s Bloodstream
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Edited by Michael D. O'Neill
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