糖尿病、心臓病など代謝障害の新しい治療法としてセラミドの役割が浮き彫りに
サイエンス出版部 発行書籍
たった2つの水素原子の位置をずらすだけの小さな化学変化が健康なマウスとインスリン抵抗性および脂肪肝を持つマウスとの違いを引き起こし、糖尿病と心臓病の主な危険因子になることを突き止めた。この変化を加えることで、高脂肪食を与えられたマウスにおけるこれらの症状の発症を防ぎ、肥満マウスにおける前糖尿病を逆転させた。 科学者たちは、dihydroceramide desaturase 1(DES1)と呼ばれる酵素を失活させることで代謝性疾患の流れを変えた。酵素がセラミドと呼ばれる脂肪脂質から水素を除去するのを止めれば、体内のセラミドの総量を減らす効果がある。 この発見は、代謝健康におけるセラミドの役割を浮き彫りにし、前糖尿病、糖尿病、心臓病など何億人ものアメリカ人の健康に影響を与える代謝障害の新しい治療法を開発するための「新薬の開発につながるような」ターゲットであるDES1に光を当てたものだ。ユタ大学ヘルスアンドメルク研究所の科学者らは、2019年7月4日にサイエンス誌のオンライン版で発表したこの研究を主導した。この論文のタイトルは「セラミド二重結合を標的にしてインスリン抵抗性と肝脂肪症を改善する(Targeting a Ceramide Double Bond Improves Insulin Resistance and Hepatic Steatosis.)」と題されている。ユタ大学の栄養および統合生理学会長のScott Summers博士(写真右)は、次のように述べている。「非常に効果的で潜在的な治療戦略を特定し、複雑な生物系が化学の微妙な変化によってどのように影響を受けるかに光を当てた。」 Summers博士は、以前からMerck Research LaboratoriesのDavid Kelley医師と共同研究を行なっていた。「我々の研究は、セラミドが代謝の健康に
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