まれなmTOR突然変異体を持った膀胱患者が特異な薬物反応示す
サイエンス出版部 発行書籍
ある進行性膀胱がん患者が第I相試験でeverolimusとpazopanibとの抗がん薬の組み合わせに対して14か月にわたり完全な反応を示した。患者の腫瘍ゲノム・プロファイリング結果から2つの変異がこの特異な反応の原因となっていると考えられている。2014年3月13日付American Association for Cancer Research (AACR) 論文誌「Cancer Discovery」オンライン版にこの研究の論文が掲載されている。 この研究結果は、everolimusに反応する可能性のあるがん患者を判定するのに役立つかもしれないものであり、National Cancer Instituteによれば、特異な反応を示す患者とは、臨床試験で特定の治療に対して反応を示した患者が全体の10%に満たない場合に6か月以上にわたり、完全な反応または部分的な反応を示した患者を意味する。米国マサチューセッツ州ケンブリッジのDana-Farber Cancer Instituteの医学部教官を務め、Broad InstituteのAssociate MemberでもあるNikhil Wagle, M.D.は、「特異反応を研究することで、一部のがんが特定の抗がん剤に対して非常に高い感受性を示す原因が突き止められるのではないか。その原因を突き止めれば、特異反応を示す患者と似た遺伝子変異を持つがん患者には同じ抗がん剤が適用できると考えられる」と述べている。 Dr. Wagleは、「この研究では、mTOR抑制剤のeverolimusと、腎がん治療に用いられる抗がん剤のpazopanibという2種類の抗がん剤の第I相試験を行い、患者の一人の膀胱がんが14か月にわたりほぼ完全に寛解した。さらに、その患者の腫瘍細胞の全エクソーム・シーケンシングを行った結果、驚くべきことにever
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