コウモリ狂犬病ウィルスの進化率は地域によって異なる

コウモリ狂犬病ウィルスの進化率は地域によって異なる

サイエンス出版部 発行書籍

コウモリ狂犬病ウィルスの進化速度は宿主の生態に深く関わっている、と米国ジョージア大学(UGA)疾病管理・予防センターおよびベルギー・ルーベン、カトリック大学(KU)の研究チームが発表した。本研究は2012年5月17日付けのPLoS Pathogens誌に掲載され、宿主の地理的環境がウィルス進化率の最も正確な予測値であることを説明している。熱帯・亜熱帯のコウモリ種は、温帯地域に住むコウモリのウィルス変種よりも4倍速く進化するのである。「広く分布している種属は、地域によって異なる行動を見せます。   熱帯のコウモリは年間を通して活動的なため、狂犬病ウィルスの感染が毎年多く起こります。一方、冬眠中のコウモリのウィルスは伝染する機会を6ヶ月も失う可能性もあります。」と、本研究のリーダー、UGAオダム生態学準学士、ダニエル・ストリーカー博士は語る。宿主の生態とウィルスの進化率との関係を理解することは、インフルエンザなど多地域にわたり起こり、複数の宿主種に感染するウィルスの伝染ダイナミクスや、ウィルスの人為的変化による伝染ダイナミクスなどを理解することにつながる。本研究チームによる知見は、異なる環境および環境の変化に応じていつ狂犬病ウィルスが伝染するのか、公衆衛生局の立てる予測に役立つかもしれない。 しかし、そのためには狂犬病ウィルスのゲノムおよびコウモリの越冬生態の研究がさらに必要であるとストリーカー博士は述べる。「ウィルスの進化が早い場合、ウィルスゲノムの重要な部分に大きな遺伝的多様性を生み、宿主をシフトすることができるかもしれません。狂犬病に関してはこれが何なのか知られていないため、それを識別することが鍵となります。同様に、気候変動がウィルスの進化をスピードアップするかどうかを理解する前に、環境の変化が宿主の生態や行動にどのような影響を与えるのかを知る事が必要なのです。」と

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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