ウエストナイル感染での致命的症状、抗インターフェロン自己抗体が影響

ウエストナイル感染での致命的症状、抗インターフェロン自己抗体が影響

蚊を通じて広がる西ナイル・ウイルス(WNV)の感染者のうち、5人中4人は自身の感染に気づかないという報告がされている。この病気に対するワクチンや治療薬の存在しない現状を考えれば、心強い知らせと言えるだろう。特に、感染者の約1%が脳炎を発症し、その結果脳の炎症を引き起こし、入院を要するケースもある。こうした患者の内、最大20%が命を落としてしまう。この限られた人々が如何に脆弱であるか、その背後には何があるのだろうか?ニューヨークのロックフェラー大学からジャン=ローラン・カサノバ医学博士と、イタリアのパヴィアにあるサン・マッテオ研究病院のアレッサンドロ・ボルゲッシ医学博士を含む国際的な研究チームが、この謎に迫るための成果を発表した。

2023年6月22日に発表されたJournal of Experimental Medicine誌の記事によれば、科学者たちはWNVに感染した患者の約35%に、ウイルスに対抗するためのシグナル伝達タンパク質である1型インターフェロンを中和する自己抗体が存在することを突き止めた。特に脳炎を発症した患者において、その割合は最も高く、約40%の患者がこの自己抗体を保有していた。論文のタイトルは「Autoantibodies Neutralizing Type I IFNs Underlie West Nile Virus Encephalitis in ∼40% of Patients(I型IFNを中和する自己抗体がウエストナイルウイルス脳炎患者の約40%に認められる)」である。

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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