細菌の「自爆スイッチ」の謎を解明!ウイルス感染から身を守る免疫機構

細菌の「自爆スイッチ」の謎を解明!ウイルス感染から身を守る免疫機構

私たちの目には見えないミクロの世界では、生命の存続をかけた壮絶な戦いが絶えず繰り広げられています。その主役の一つが、地球上のあらゆる場所に存在する細菌と、その細菌に感染するウイルス「ファージ」です。ウイルスに感染された細菌は、どのようにして抵抗するのでしょうか?実は、細菌はウイルスの増殖を阻止するため、自らの細胞を犠牲にする「自爆スイッチ」のような高度な免疫システムを持っています。この度、そのスイッチがどのようにオンになり、巧妙な防御機構が発動するのか、その分子レベルでの謎が解き明かされました。 細菌免疫の鍵はタンパク質の「糸状集合」にあり 中国科学院生物物理学研究所と北京理工大学の共同研究チームは、細菌がウイルス感染から身を守るための中心的なメカニズムを解明しました。2025年5月8日に学術誌*Cell*で発表されたこの研究は、環状オリゴヌクレオチドを介したファージ対抗シグナル伝達システムと呼ばれる免疫機構が活性化する際に合成される環状ジヌクレオチドが、どのようにして下流の免疫応答を実行するのかを明らかにしました。CDNsは、実行役となるホスホリパーゼ(リン脂質分解酵素)というタンパク質のフィラメント状集合(糸状の構造に集まること)を引き起こし、細胞膜を破壊するというのです。 CBASSは、哺乳類のcGAS-STING経路と進化的に関連のある、広範に見られる細菌の抗ウイルス免疫システムであり、環状ヌクレオチドのシグナルを合成し、実行役のタンパク質を活性化させて細胞死を誘導し、ウイルスの増殖を防ぎます。このCell誌の論文は、「Cyclic-Dinucleotide-Induced Filamentous Assembly of Phospholipases Governs Broad CBASS Immunity(環状ジヌクレオチド誘導性のホスホリパーゼのフィラ

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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