炭疽病毒素による新しい精密標的型疼痛治療薬のマウスによる実証実験が報告された
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炭疽菌は怖いというイメージがある。炭疽菌は人間の肺に深刻な感染症を引き起こし、痛みはないものの醜い皮膚病変を引き起こすことが広く知られており、恐怖の兵器として使われたことさえある。このたびの研究で、この恐ろしい微生物が思いがけない有益な可能性を持っていることが明らかになった。
この研究では、この炭疽病菌の毒素が痛みを感知するニューロンのシグナル伝達を変化させ、中枢神経系や末梢神経系のニューロンを標的として投与すると、苦痛を感じている動物に緩和を与えることが明らかにされた。
この研究はハーバード・メディカル・スクール(HMS)の研究者が主導し、企業の科学者や他の機関の研究者と共同で行われ、2021年12月20日にNature Neuroscienceのオンライン版に掲載された。この論文は「炭疽病毒素が痛みのシグナル伝達を制御し、分子カーゴをANTXR2+DRG感覚ニューロンに送り込む(Anthrax Toxins Regulate Pain Signaling and Can Deliver Molecular Cargoes into ANTXR2+DRG Sensory Neurons)」 と題されている。
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