なぜ私たちは痒くなる?体を守る防御システムと慢性化の謎に迫る

なぜ私たちは痒くなる?体を守る防御システムと慢性化の謎に迫る

「かゆみ」には目的があることをご存知でしょうか?単に不快な感覚というだけでなく、実は体を守るための重要な機能を持つ、複雑な感覚システムであることがわかってきました。虫に刺された後や、有毒な植物に触れたときの一時的な不快感として私たちは「かゆみ」を経験しますが、約5人に1人は、生活の質を著しく損なう「慢性的なかゆみ」に悩まされています。かつては痛みの軽い形と見なされていましたが、最新の研究はそのイメージを覆し、かゆみが独自の神経回路を持つ独立した感覚であることを突き止めています。この精巧なシステムがなぜ暴走してしまうのか、その謎と治療法開発の最前線に迫ります。 なぜ私たちは「かゆみ」を感じるのか?その防御メカニズムと慢性化の謎 カリフォルニア大学バークレー校の研究者らが最近発表した総説で、急性および慢性のかゆみの根底にある分子的・細胞的メカニズムに関する重要な発見を要約し、将来の治療法革新への道筋を示しました。 かゆみは、免疫細胞や皮膚細胞と相互作用する独自の神経回路を持っており、その解明は慢性的なかゆみに対する新たな治療法への道を開きます。2025年1月20日に学術誌『Current Biology』に掲載された総説で、UCバークレー校のリリアン・マーフィー氏(Lillian Murphy)、エレン・ランプキン氏(Ellen Lumpkin)、ダイアナ・バウティスタ氏(Diana Bautista)は、かゆみがどのようにして重要な防御メカニズムとして機能し、時に慢性的で衰弱させる状態へと変化するのかを説明しています。彼らの論文は、単に「「Itch(かゆみ)」」と題され、このユニークな感覚体験が、慢性の皮膚炎症に積極的な役割を果たし、治療標的として有望となりうる特殊な受容体によってどのように媒介されるかをまとめています(1)。 では、なぜ私たちはかゆみを経験

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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