シングルセルRNAシーケンスを用い、アルツハイマー病などの認知機能障害における脳脊髄液の役割が明らかに。
サイエンス出版部 発行書籍
重さ約1300gの脳が重く感じないのは、脳と脊髄の中を流れる脳脊髄液の中に浮いているからだ。脳と頭蓋骨の間にあるこの液体バリアは、頭を打ったときに脳を保護し、脳に栄養を補給する。しかし、脳脊髄液にはもう一つ、あまり知られていないが、脳を免疫的に保護する重要な働きがある。しかし、この機能はこれまであまり研究されてこなかった。今回、ノースウェスタン大学の研究により、アルツハイマー病などの認知機能障害における脳脊髄液の役割が明らかになった。 この発見は、神経変性のプロセスに新たな手がかりを与えるものだと、研究主導者であるノースウェスタン大学ファインバーグ医学部神経学助教授のデビッド・ゲート博士は述べている。 本研究は、2022年12月13日、Cell誌に掲載された。このオープンアクセス論文は「健康な脳の老化と認知機能障害における脳脊髄液の免疫調節障害(Cerebrospinal Fluid Immune Dysregulation During Healthy Brain Aging and Cognitive Impairment)」と題されている。 本研究では、加齢に伴い、髄液の免疫系が制御不能になることを明らかにした。また、アルツハイマー病などの認知機能障害を持つ人では、脳脊髄液の免疫系が健康な人とは大きく異なっていることも発見された。 「我々は今、健康な老化と神経変性に伴う脳の免疫システムを垣間見ることができた。この免疫リザーバーは、脳の炎症の治療に使われたり、認知症の人の脳の炎症レベルを判断する診断薬として使われる可能性がある。」と、ゲート博士は語っている。 「我々は、健康な脳と病気の脳に存在するこの重要な免疫リザーバーを徹底的に分析した。」とゲート博士。彼のチームはデータを公開しており、その結果はオンラインでアクセスすることができる。 脳脊髄液を分析す
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