断食やケトン体が脳を守る?加齢やアルツハイマー病におけるタンパク質品質管理の新発見

断食やケトン体が脳を守る?加齢やアルツハイマー病におけるタンパク質品質管理の新発見

サイエンス出版部 発行書籍

ケトンエステルが加齢とアルツハイマー病の脳内で異常タンパク質を除去する新たな仕組みを解明 ケトン体 は、断食時などに体がエネルギー源として生成する代謝産物として知られていますが、近年の研究では、単なるエネルギー供給源にとどまらず、細胞の働きや老化プロセスの調節にも重要な役割を果たすことが示唆されています。米国バック研究所 の研究チームは、ケトン体が加齢やアルツハイマー病に関連する脳の プロテオーム に大きな影響を与えることを明らかにしました。 2024年12月2日に『Cell Chemical Biology』に掲載された研究論文タイトルは「(B-Hydroxybutyrate Is a Metabolic Regulator of Proteostasis in the Aged and Alzheimer’s Disease Brain(B-ヒドロキシ酪酸は老化およびアルツハイマー病脳におけるプロテオスタシスの代謝制御因子である)」では、アルツハイマー病モデルマウスや線虫(C. elegans)を用いた実験を通じて、ケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(β-hydroxybutyrate, BHB)が異常タンパク質と直接相互作用し、その溶解性と構造を変化させることでオートファジー(自食作用)を介して脳から除去される 仕組みを解明しました。 この発見は、ケトン体が老化や神経変性疾患における タンパク質品質管理 を制御する強力な代謝シグナル因子であることを示し、脳の健康維持や新たな治療法開発への道を開くものです。 ケトン体の脳機能改善作用の新たなメカニズム これまでの研究では、ケトン体が エネルギー供給の増加や脳の炎症抑制 を通じて神経機能を改善すると考えられていました。しかし、バック研究所のジョン・ニューマン(John NewmanMD, PhD)ら

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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