ゲノム編集の「大きすぎる」問題を解決!細菌由来のコンパクトな酵素が遺伝子治療を加速させる

ゲノム編集の「大きすぎる」問題を解決!細菌由来のコンパクトな酵素が遺伝子治療を加速させる

生命の設計図を自在に書き換える「ゲノム編集」。この革命的な技術は、これまで治療が難しかった病気に大きな希望をもたらしましたが、一つの大きな壁がありました。それは、編集ツールが「大きすぎて」、目的の細胞に届けにくいという問題です。今回、ゲノム編集のパイオニアの一人である研究者が、その「大きな」問題を、細菌が持つ「小さな」タンパク質を巧みに再設計することで解決し、遺伝子治療の新たな扉を開きました。 MITマクガバン脳研究所およびMIT・ハーバードブロード研究所の科学者たちが、細菌から発見したコンパクトなRNA誘導型酵素を再設計し、効率的でプログラム可能なヒトDNA編集ツールを創り出しました。彼らが「NovaIscB(ノヴァイスクビー)」と名付けたこのタンパク質は、遺伝コードに正確な変更を加えたり、特定の遺伝子の活動を調節したり、その他の編集作業を行うために応用できます。その小さなサイズが細胞への送達を容易にするため、NovaIscBの開発者たちは、病気の治療や予防のための遺伝子治療法を開発する上で有望な候補であると述べています。 この研究は、MITのジェームズ・アンド・パトリシア・ポイトラス神経科学教授であり、マクガバン研究所およびハワード・ヒューズ医学研究所の研究員、そしてブロード研究所のコアメンバーでもあるフェン・チャン博士(Feng Zhang, PhD)によって主導されました。チャン博士と彼のチームは、2025年5月7日に科学誌『Nature Biotechnology』でそのオープンアクセスの研究成果を報告しました。論文のタイトルは、「Evolution-Guided Protein Design of IscB for Persistent Epigenome Editing In Vivo(生体内での持続的なエピゲノム編集のためのIscBの進化誘導型タンパ

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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