あの「カツオノエボシ」は1種類じゃなかった!DNA解析で4種以上の存在が判明

夏の海岸で、青い風船のような姿をした「カツオノエボシ」を見かけたことはありますか?その美しい見た目とは裏腹に、強力な毒を持つことからしばしば厄介者扱いされるこの生き物。世界中の海を風に乗って漂う、たった1種類の生物だと、これまでずっと考えられてきました。しかし、最新の遺伝子研究が、その長年の常識を根底から覆す、驚きの事実を明らかにしました。 実は、私たちが「カツオノエボシ」と呼んでいる生き物は、1種類ではなく、少なくとも4つの異なる「種」の集まりだったのです。見た目はそっくりでも、DNAは全くの“別人”ならぬ“別種”。一体、彼らの隠された正体とは何なのでしょうか?そしてこの発見は、広大な海の謎を解き明かす、どのような手がかりとなるのでしょうか。 カツオノEボシは1種類ではなかった 外洋を自由に漂流する単一の種だと長年信じられてきたカツオノエボシ(英語名:bluebottle、またはPortuguese man o’ war)が、実際にはそれぞれが独自の形態、遺伝子、分布を持つ、少なくとも4つの異なる種のグループであることが明らかになりました。 イェール大学の科学者が主導し、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(UNSW: University of New South Wales)とグリフィス大学の研究者が参加した国際研究チームが、世界中から集めた151体のカツオノエボシ属(Physalia)標本のゲノムを解読し、この驚くべき生物多様性を発見しました。Current Biology誌に掲載されたこの研究は、5つの遺伝的系統の間で生殖的隔離(交配していないこと)を示す強力な証拠を発見し、「外洋は単一でよく混ざり合った個体群を支えている」という長年の仮説に異議を唱えるものです。 遺伝子が明かす驚きの事実 「私たちは皆、同じ種だと思っていたの
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Edited by Michael D. O'Neill
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