
がん患者個人に最適な治療薬の選択は往々にして正確性に欠ける。ある患者に有効な薬剤も他の患者には効かないということもあり、腫瘍初期には有効だった薬剤も後には耐性が生まれることもある。MITとDana-Farber Cancer Instituteの研究チームは、さらに個別化した治療法を編成するため、がんの薬剤感受性の新検査法開発した。これは計器を使って単一細胞の質量を測定し、一つの薬剤が細胞の成長率に与える影響を見ることでその薬剤の効果を予測するというもの。研究チームは、膠芽腫と呼ばれる非常に侵襲性の強い脳腫瘍と急性リンパ性白血病と呼ばれる血液がんの一種を対象にしてこの手法をテストし、成功した。この研究成果は、2016年10月10日付Nature Biotechnologyオンライン版に掲載された。この論文は、「Drug Sensitivity of Single Cancer Cells Is Predicted by Changes in Mass Accumulation Rate (単一がん細胞の薬剤感受性を細胞の質量蓄積率変化で推定する)」と題されている。
MIT Departments of Biological Engineering and Mechanical EngineeringのAndrew (1956) and Erna Viterbi Professorを務め、MITのKoch Institute for Integrative Cancer Researchのメンバーでもあり、またこの論文の主席著者の一人でもあるScott Manalis, Ph.D.は、「私達の研究では、シーケンシングなど下流解析の可能性の残したまま、薬剤に対する個別細胞の反応を測定できる機能アッセイを開発した」と述べている。Dana-Farber Cancer InstituteのDavid Weinstock, Ph.D.とKeith Ligon, Ph.D.もこの論文の主席著者を務めている。筆頭著者には、元MIT大学院生で現在はDana-Farber所属博士研究員のMark Stevens, Ph.D.、MIT大学院生のNigel Chou氏、Dana-FarberポスドクのCecile Maire、Mark Murakami両氏らが名を連ねている。
近年、研究者は、特定抗がん剤に対するがんの感受性を示す遺伝子マーカーを突き止めようと研究を進めている。しかし、これまでのところでは有用なマーカーはごく少数のがんについて見つかっているだけであり、しかも感受性を予測するためのテストであってさえ、同じタイプのがんでもすべての患者に対して正確さを期待できない。そこで、MITとDana-Farberの研究チームはこれまでとは異なるアプローチを取った。
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