アルドステロンによる心臓障害メカニズムが発見される
サイエンス出版部 発行書籍
心臓が不調を来すと、身体がその状態を治そうとあらゆる手立てを講ずる。ところが時として、そのような補償メカニズムがむしろ益よりも害をもたらす結果になることがある。副腎ホルモンのアルドステロンでもそういうことが起きる。 アルドステロンが心臓をさらに活発に動かそうと刺激する結果、心筋に与えるダメージがなおさら大きくなってしまうのである。最近、Temple University, Lewis Katz School of Medicine (LKSOM) の研究で、このプロセスを抑制する手段に一歩近づいた。この研究チームは、Gタンパク質共役受容体キナーゼ (GRKs) と呼ばれるシグナル分子がアルドステロンによる心臓障害に介在しているという思いがけないメカニズムを発見した。そのことにより、治療の前進に道を開いたといえる。 LKSOMでCardiovascular MedicineのWilliam Wikoff Smith Endowed Chair、Department of Pharmacologyの教授とChair、Center for Translational MedicineのDirectorを兼任し、この新研究の主任研究員を務めるWalter J. Koch (写真), Ph.D.は、「研究でGRK2とGRK5という2種のキナーゼが、アルドステロンに結合するミネラルコルチコイド受容体の下流の心筋細胞にある種の変化を引き起こし、それが心不全の原因になることを突き止めた」と述べている。2016年3月2日付Nature Communications誌オンライン版掲載の研究論文は、この独特な相互作用を初めて明らかにした。オープンアクセスとして公開されているこの論文は、「Myocardial Pathology Induced by Aldosterone Is Depend
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