光を避ける単細胞生物の秘密—葉緑体が縮む驚異のメカニズム
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サイエンス出版部 発行書籍
光が強すぎるとどうする?—単細胞生物の驚くべき適応メカニズム 生物にとって太陽の光は生命維持に不可欠だ。しかし、光が強すぎると、動物は日陰に逃げ、人間は昼寝をし、植物は細胞内で葉緑体の配置を変えて光の吸収を調整するなど、さまざまな方法で対処する。では、移動能力を持たない単細胞生物はどのようにして強烈な光を回避しているのだろうか? オランダ・アムステルダム大学の研究者らがこの疑問に対する答えを発見した。本研究の成果は、2024年11月18日付の Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS) に掲載され、論文タイトルは 「Light-Regulated Chloroplast Morphodynamics in a Single-Celled Dinoflagellate(単細胞渦鞭毛藻における光制御型葉緑体形態動態)」 である。 「光る海」の原因となる単細胞生物 今回の研究対象となったのは、ピロシスティス・ルヌラ(Pyrocystis lunula) という単細胞藻類だ。この生物名は馴染みがなくても、その影響を目にしたことがある人は多いだろう。船乗りや漁師の間ではよく知られており、夜の海が青く光る現象 の原因となる生物の一つだ。 P. lunula は渦鞭毛藻(dinoflagellate)の一種であり、葉緑体(chloroplast)を利用して光合成を行い、太陽エネルギーを化学エネルギーへと変換する。しかし、この生物は植物のように葉緑体の配置を変えることで光の吸収量を調整することはできない。さらに、動物のように強い光から逃げることも不可能だ。では、この単細胞生物はどのようにして過剰な光から身を守っているのだろうか?この謎を解明することが、本研究の目的だった。 葉緑体は「縮む」ことで強光を回避する
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