オベリスクとは何か?ビロイドとも異なる新たなRNA要素の発見

オベリスクとは何か?ビロイドとも異なる新たなRNA要素の発見

サイエンス出版部 発行書籍

未知のRNA要素「オベリスク」の発見—ヒトマイクロバイオームに広く分布する新たな遺伝因子 米国、スペイン、カナダの研究者らは、2024年11月に発行されたCell誌の創刊50周年記念号において、「オベリスク(obelisks)」と名付けられた新規の遺伝性RNA要素を報告しました。このRNA要素は、これまでに知られるいかなる生物学的因子とも類似性を持たず、その機能も不明ですが、ヒトマイクロバイオームを含む多様な生態系に存在することが明らかになりました。特に、ヒト口腔マイクロバイオームにおいて極めて高い頻度で検出 されています。 この研究は、ノーベル賞受賞者であるスタンフォード大学のアンドリュー・Z・ファイア博士(Andrew Z. Fire, PhD)が主導し、2024年11月14日にCell誌に「Viroid-Like Colonists of Human Microbiomes(ヒトマイクロバイオームにおけるビロイド様RNAコロニー)」というタイトルで発表されました。 ビロイド:最小RNA要素の新たな定義 B型肝炎ウイルスデルタ抗原(HDV)様ウイルス性衛星(Hepatitis delta-like viral satellites)やその他のビロイド(viroids)は、タンパク質をコードせず、外被タンパク質を持たない病原性の遊離RNA分子 です。 RNAウイルス(リボウィリア: Riboviria)が自身の複製機構をコードするのに対し、ビロイドは宿主のRNAポリメラーゼを利用して複製を行う ため、生物学的情報伝達の限界を定義するほど小さなゲノム(典型的なビロイド:約350ヌクレオチド、HDV:約1.7キロベース)を持ちます。これまで、リボウィリアに比べてビロイドの既知の例は少数でした。 ビロイドは20世紀初頭に植物病理学者によって発見され、植物のゲノ

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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