エクソソームがパーキンソン病の脳の特定領域にドーパミンを直接送達することがマウスでの研究で実証された
2018年9月5日にParkinson's Disease Todayに掲載された研究コラムニストのAlice Melao氏の記事によれば、血液中を自然循環するエクソソームは脳を含む中枢神経系に効果的に薬を運搬することができ、マウスでの初期の研究ではパーキンソン病の影響を受けた脳の特定の領域にドーパミンを直接的に送達することができたことを示唆しているという。
中国の四川大学の研究者らによるこの論文は、「パーキンソン病のより良い治療のために脳にターゲティングされたドーパミン負荷血液エクソソーム(Dopamine-Loaded Blood Exosomes Targeted to Brain for Better Treatment of Parkinson’s Disease)」と題され、Journal of Controlled Releaseの2018年10月10日号に掲載された。
パーキンソン病は、ドーパミンを産生する脳における神経細胞(ドーパミン作動性ニューロンと呼ばれる)の進行性変性および死によって特徴付けられる。 ドーパミンは、脳細胞の活性および機能を調節する重要なシグナル伝達分子である。
Melao氏は、この病気の進歩的な性質を考えると、ドーパミン作動性ニューロンの死滅を防ぐ方法や、脳のドーパミンレベルを回復させる方法の研究に焦点を当てているという。
しかし、主要な課題は、脳を保護する半透過性の膜である血液脳関門を越えて標的治療領域に到達する可能性のある治療薬を獲得することであった。
四川大学の研究者らは、 エクソソーム をドーパミン輸送手段として使用する可能性について検討した。 チームはマウスの血液からエクソソームを単離して精製し、それらを容易に追跡できるように緑色の蛍光タグで標識した。 研究者らは、実験室で増殖させたマウス脳細胞でこれらのエクソソームを使用したとき、小胞が細胞膜と合体し、その内容物が細胞内に放出されて緑色に変わることを確認した。 次に、Melao氏によると、研究者らはエクソソームを生きたマウスに注射し、蛍光色素が脳に蓄積していることを発見したという。
さらなる実験により、このエクソソームの脳標的化活性は、脳細胞におけるトランスフェリンとトランスフェリンレセプターの相互作用に依存することが明らかになった。 彼らの治療可能性をよりよく調べるために、研究者らはエクソソームにドーパミンを負荷し、それらをマウスに注入した。 カプセル化されたドーパミンは、脳を含むすべての主要な器官に蓄積された。 遊離のドーパミンの注射(エクソソームを使用しない)を与えられたマウスは、肝臓、肺および腎臓において化合物のレベルが増加したが、脳では増加しなかった。 エクソソーム媒介性送達では、脳におけるドーパミンレベルは、遊離ドーパミンで処置した動物におけるレベルより少なくとも15.7倍高かった。
研究者らは、マウスの脳を解析した結果、エクソソームは血液脳関門を通過するだけでなく、線条体や黒質脳領域などの深部に到達する可能性があることを発見した。 実際、ドーパミンが負荷されたエクソソームを与えられたパーキンソン病モデルのマウスは、プラセボで処置した動物と比較して、損傷した線条領域においてドーパミンレベルが56.58%の増加を示した。
総括として、動物では心臓、肝臓、または腎臓機能の変化が検出されなかったので治験治療戦略は安全であったと、研究者らは報告している。 これらの知見に基づいて、エクソソームは、パーキンソン病および中枢神経系に影響を与える他の疾患に対する標的療法のための魅力的な送達システムであると研究者らは信じている。
Melao氏は、「初めて、脳のエクソソームを改変することなく、脳のターゲティングされた薬物送達のための効率的なキャリアーとして役立つことが明らかになり、脳への自然分布のメカニズムも明らかになった。これからパーキンソン病に対する標的治療のために、ドーパミン負荷血液エクソソームを十分に利用し、好ましくはパーキンソン病治療の満たされていない医学的必要性を解決したい。」と研究者らは締めくくったと記している。
【BioQuick News:Exosomes Carry Dopamine into Brains of Mice in Parkinson’s Study】
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