タンパク構造の特有の変化が転写プロセスの重要なカギに
サイエンス出版部 発行書籍
生物学のもっとも基礎的なプロセスの一つが「転写」と呼ばれるものだ。この「転写」は、タンパク質合成に必要な数多いプロセスの一つに過ぎないが、このプロセスがなければ生命も存在できない。しかし、転写の仕組みにはまだ未解明の部分が数多く残されている。サンフランシスコのGladstone Institutesの研究チームはこの転写の重要な部分に光を当て始めており、それとともに、細胞が成長発達する上で転写プロセスがどれほど重要か、またこのプロセスが脱線するとどういうことになるかの理解にさらに一歩近づいている。 2013年11月7日付Molecular Cell誌で、Gladstoneの研究員、Melanie Ott, M.D., Ph.D.の研究室の研究チームは、RNAポリメラーゼ II (RNAPII) (画像参照) と呼ばれるタンパク質の興味深い挙動を記述している。 RNAPIIタンパクは、DNAをRNAに複写する転写プロセスを導く触媒となる酵素の一種であり、タンパク質を生成する際の使い捨て青写真の役割を果たしている。RNAPIIが転写プロセスの初期に特定の遺伝子で休止するらしいことは以前から科学者の間でよく知られていた。しかし、その理由についてはよく分かっていなかった。サンフランシスコのUniversity of CaliforniaはGladstoneもその一部だが、同大学で医学教授を務めるDr. Ottは、「いわゆる『ポリメラーゼ休止』は、RNAPIIが転写を始めて間もなくほんのしばらく転写を休止するというもので、休止後は転写を再開する。私たちに分かっているのは、この挙動がDNAを正確にRNAに転写するために重要だということだけだ。そこで私の研究チームは、どのようにして、どういう段階でということ、また何よりも、なぜかということを解明する研究を始めた」と述べている。そ
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