クリミア・コンゴ出血熱ウイルスの侵入メカニズムを解明
サイエンス出版部 発行書籍
カロリンスカ研究所(Karolinska Institutet)とJLP Healthなどの共同研究により、ダニ媒介のクリミア・コンゴ出血熱ウイルス(CCHFウイルス)がどのようにして人の細胞に侵入するかが明らかになりました。この研究成果は2024年3月28日にNature Microbiology誌に発表され、致死的な病気に対する治療薬の開発に向けた重要な一歩となります。論文タイトルは「Crimean–Congo Haemorrhagic Fever Virus Uses LDLR to Bind and Enter Host Cells(クリミア・コンゴ出血熱ウイルスはLDLRを利用して宿主細胞に結合・侵入する)」です。 クリミア・コンゴ出血熱ウイルスとは CCHFウイルスは、ダニの咬傷を介して感染し、出血熱を引き起こすことがあります。感染した人の健康状態により、致死率は最大40%にも達します。一般的な症状には、発熱、筋肉痛、腹痛、関節痛、嘔吐、そして臓器不全を引き起こすこともある出血が含まれます。 ヨーロッパにも広がるウイルス このウイルスは中央アジア、中東、アフリカの一部を含む約40カ国に存在します。近年では気候変動の影響で、スペインやフランスなど新たな地域にも広がりを見せています。感染を媒介するダニの種はドイツやスウェーデンでも観察されていますが、現在有効な治療法は存在しません。 新しい研究の発見 今回の研究で、カロリンスカ研究所の研究者らは、ウイルスが細胞表面の低密度リポタンパク質(LDL)受容体を介して細胞に侵入することを発見しました。LDL受容体は血中コレステロールの調節に役立つタンパク質です。このタンパク質を特定するために、研究者らは試験管内で育てたヒトミニ臓器とJLP Healthから提供された高度な幹細胞ライブラリを使用しま
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