ハイエナの臭い腺に生息するバクテリアが群れ独自の臭いの源泉
サイエンス出版部 発行書籍
Nature誌Scientific Report 2012年8月30日オンライ版に掲載されたのは、ハイエナの群れの種類と、その臭い腺に生息する微生物の集団との間に、明白な相関関係があるという報告であり、主著はミシガン州立大学(MSU)ポスドク研究者であるケビン・セイス博士である。「すべての動物が行動範囲を決めるのに共通する重要な要素は、意思疎通のシステムにあります。そして群れ独自のバクテリア無しでは、十分なコミュニケーションが取れないのです。」と語るのは、MSUの動物学者であるケイ・ホールキャンプ博士と本研究の共著であるセイス博士である。 哺乳類の異なる社会集団は、それぞれ独自の臭いを発するバクテリア集団を有している。このバクテリアは独特の化学物質を分泌し、ハイエナは臭いによって自分たちの群れを認識する。過去の研究では、微生物の果たす重要な役割は、食べ物の消化や肉体機能に関わる事であった。よく知られている事は、多くの哺乳類は臭いを、性別や年齢、生殖状況や集団のメンバーシップの判定などのシグナルとして、様々な広い範囲で利用しているという事だ。本研究では、バクテリアはハイエナを宿主として、互いに利益を供与し合っている事を論じている。新しいDNA解析技術によって、動物の行動規範に対するバクテリアの有益で共生の役割が、明らかにされたのである。セイス博士は、ケニアの大草原の草の茎部分に付着している、ハイエナの酸っぱい臭いのするペースト状のサンプルに生息するバクテリアの情報を収集した。現場の試料はハイエナの臭い腺から採取され、MSUに送られ、新世代シーケンサー(NGS)を用いて解析された。ハイエナの群れが草に残した付着物のサンプル中のバクテリアの解析では、同じ群れ集団間では極めて高い同等性が確認された。「臭い腺内のバクテリアを共有する事の恩恵は、ハイエナの群れ集団が臭いによって
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