希少疾患の赤ちゃんを救え!遺伝子治療薬の製造、時間との戦い

希少疾患の赤ちゃんを救え!遺伝子治療薬の製造、時間との戦い

「この仕事がもたらす意味合いは、計り知れません。」先日お伝えした、難病の赤ちゃんを救った世界初のオーダーメイド遺伝子治療。その奇跡的な成功の裏側には、時間との壮絶な戦いがありました。命の危機に瀕する赤ちゃんのために、治療薬を通常の3分の1という、わずか6ヶ月で製造するというミッション。それを成し遂げたのは、最先端の技術を持つ企業と研究機関の強力なタッグでした。これは、未来の医療を形作る、産学連携の新たな金字塔の物語です。 2025年5月15日、DNA、RNA、タンパク質製造のグローバルリーダーであるアルデブロン(Aldevron)社と、ゲノミクスソリューションの世界的リーダーであるインテグレイテッドDNAテクノロジーズ社は、尿素サイクル異常症を患う乳児(KJちゃん)を治療するための、世界初の個別化CRISPR遺伝子編集医薬品の製造に成功したことを発表しました。現在、UCDに根治的な治療法はありません。フィラデルフィア小児病院(CHOP)とペンシルベニア大学(Penn)は、共にダナハー・コーポレーション傘下であるアルデブロンとIDTに協力を求め、新規のmRNAベースの個別化CRISPR治療薬を、標準的な遺伝子編集医薬品のタイムラインの3分の1である6ヶ月で製造しました。 この技術的に複雑なN-of-1治療(たった一人の患者のための治療)には、新しいガイドRNA(gRNA)配列、新しいmRNAコードの塩基エディター、カスタムのオフターゲット安全性評価サービス、そして臨床的に検証された脂質ナノ粒子製剤(アキュイタス・セラピューティクス(Acuitas Therapeutics)社製LNP)が必要でした。これは、米国がすべての人々の健康を向上させるためのmRNA遺伝子編集治療において、いかに世界をリードし続けているかを示す業界の画期的な出来事です。この成果は、2025年5月

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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