ゲオスミンの匂いを感じる仕組みを解明:人間の嗅覚受容体OR11A1を特定
サイエンス出版部 発行書籍
人が「土の香り」を感じる仕組みを初めて解明:ミュンヘン工科大学の研究チームがゲオスミンの受容体を特定。 ゲオスミンは、微生物由来の揮発性化合物で、「土臭い」または「カビ臭い」独特の香りが特徴です。この物質は雨が乾いた土壌に降る際に発生する典型的な匂いの原因であり、土壌中の微生物やサボテンの花、ビーツなどの植物にも存在します。このたび、ライプニッツ食品システム生物学研究所のディートマー・クラウトヴルスト博士(Dietmar Krautwurst, PhD)率いる研究チームが、ゲオスミンを感知する人間の嗅覚受容体を初めて特定し、詳細に解析しました。 この研究結果は、2024年7月2日にJournal of Agricultural and Food Chemistryに掲載され、「Geosmin, a Food- and Water-Deteriorating Sesquiterpenoid and Ambivalent Semiochemical, Activates Evolutionary Conserved Receptor OR11A1(食品および水の劣化を引き起こすセスキテルペノイド、ゲオスミンと進化的に保存された受容体OR11A1の活性化)」というタイトルで発表されました。 ゲオスミンの影響と新たな発見 ゲオスミンは微生物が作り出すシグナル物質で、動物界では警告や誘引の役割を果たします。例えば、果実バエには腐った食物を警告し、ラクダには水分の多い場所へと誘引します。「ゲオスミンは動物界で化学シグナル物質として機能しており、人間にも同様の影響を与える可能性があります」と、ライプニッツ研究所のレナ・ボール博士(Lena Ball)は説明しています。ゲオスミンの匂いは赤ビーツにとっては自然なものですが、魚や豆類、ココア、水、ワイン、ブドウジュースなどに含まれ
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