ヨーヨーガイの驚くべき発見:共存から排除へ、進化の謎
サイエンス出版部 発行書籍
ウミガメの巣穴で共存するハマグリたち:生態系の競争と共存を揺るがす発見。 ミシガン大学(U-M)の最新研究により、ハマグリが生存のために「殺し屋」と共存する状況が明らかになりました。研究チームは、自然界における多様な生物がどのようにして同じ場所で共存しているのか、という長年の生態学的疑問に挑みました。生態学には「競争排除の原則」という理論があり、ある生態的役割(ニッチ)を共有できるのは一種のみとされています。 しかし、現実には異なる種が同じニッチを共有し、同じ生息地や食料を利用する例が多数あります。 U-Mの生態学・進化生物学大学院生ティール・ハリソン氏(Teal Harrisonとその指導教官であるディアマイド・オフォイル博士(Diarmaid Ó Foighil, PhD)は、7種類の海洋ハマグリが肉食性のシャコの巣穴で暮らしている異例の生態系を調査しました。この巣穴に棲むハマグリの多くは、長い足を巣穴の壁に張り付け、危険が迫ると「ヨーヨー」のようにすばやく離れて逃げることができるため、「ヨーヨーガイ(yoyo clams)」と呼ばれます。しかし、同じ巣穴に棲むもう一つのハマグリ種はシャコの体に直接付着し、壁には張り付かないという独特の生態的役割を持っています。こうした異なる生活様式を持つハマグリたちが、なぜ同じ巣穴で共存できるのかが研究の焦点となりました。 競争排除の原則に反する意外な結果 ハリソン氏がフィールドでの調査を行ったところ、巣穴に複数種のハマグリが共存している場合、巣穴の壁に付着するヨーヨーガイのみが存在することが分かりました。さらに、実験室で宿主のシャコに直接付着するハマグリを巣穴に追加してみたところ、シャコは壁に付着していたすべてのハマグリを殺害するという予想外の行動を示しました。この現象は、従来の「競争排除の原則」に反しています。
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