脊髄性筋萎縮症(SMA)の発症前に見られる新たな胚発生異常の発見
サイエンス出版部 発行書籍
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、これまで認識されていなかった胚発生の異常に起因する可能性があり、新たな治療アプローチの鍵を握るかもしれない 脊髄性筋萎縮症(SMA)は、現在治療法が存在しない重篤な神経疾患ですが、現在の治療法で症状を緩和することが可能です。DZNE(ドイツ神経変性疾患センター)とドレスデン工科大学の研究者らは、これまで見過ごされてきた胚発生の異常に注目しています。この研究は、オルガノイド(organoid)と呼ばれる実験室で培養された組織モデルを用いて、疾患のプロセスを再現することで行われました。 研究成果は、2024年7月26日に科学誌Cell Reports Medicineに掲載され、論文タイトルは「Isogenic Patient-Derived Organoids Reveal Early Neurodevelopmental Defects in Spinal Muscular Atrophy Initiation(同系患者由来のオルガノイドは脊髄性筋萎縮症の初期神経発達異常を明らかにする)」です。 SMAの特徴と現在の治療法 SMAでは脊髄の神経細胞が変性し、麻痺や筋萎縮が生じます。この病気は通常、幼少期に発症し、ドイツでは約1,500人が影響を受けています。SMAは特定の遺伝子の欠陥により引き起こされ、これがSMNタンパク質(Survival of Motor Neuron protein)の不足を招きます。このタンパク質は運動制御に関与する神経細胞にとって不可欠です。近年、遺伝子治療を用いた治療法が開発され、生後数日以内に治療が開始されることもありますが、完全な治癒には至っていません。 未知の前兆 ドイツ・ドレスデンの研究者らは、より良い治療法を探るため、視点を広げる必要があると提言しています。「SMAはこれまで、神
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